埋立工事で石材の産地偽装が横行する海洋土木業界の闇

(敬天新聞 令和4年8月号 1面)


海砂の産地偽装

中国共産党が、石油や天然ガスなどのエネルギー資源の他、先端技術に欠かせない鉱物資源を求めて、隣国との境界線をまるで無視するように、厚かましい海洋調査を繰り返し行っていることは周知の事実である。

それに加え、中国の竣工船が海底から大量の海砂を採取しているという驚愕の事実を、6月26日放送の「NHKスペシャル」が詳しく報じていた。 南シナ海での人工島に加え、世界各地で港湾などを建設するのに使われているという。またビル建設などのコンクリートの材料としても需要が高まっているそうだ。

許せないのは、国内では砂が高騰し、採取が難しいので台湾などで砂を取り、インドネシアやフィリピンといった東南アジアを経由して、架空の原産地証明書を発行してもらうことで、違法に採取した砂を合法な砂として香港で売り、莫大な利益を得ているということだ。つまり砂のロンダリング(洗砂=せんさ)が行われているというのである。

そんな折、偶然にも我が国内に於いても、海洋土木業界で、海の中と言う盲点をついた「海砂の産地偽装が横行している」という投書が届いた。そこで、投書の内容を公表することで問題提起することにした。

海洋土木業界は一般には余り知られていないが、我が国の技術は世界最高レベルである。アジアとヨーロッパを繋ぐボスポラス海峡の海底トンネルは日本の技術抜きでは考えられなかったし、戦後から一気に埋め立てが進んだ東京湾沿岸は高度経済成長を支える基礎となった。海底トンネルと埋め立ては、海洋土木の2本柱と言っても差し支えないだろう。

その埋め立てには、大量の石材(捨石)が必要になる。また海砂利、海砂も欠かせない。捨石も砂利も砂も、実はブランドがあって値段が違う。その上、採取できる場所も限られており、埋め立ては海洋土木業者(マリコン)の良心に頼らなければ、海の底に沈められる石材や砂利などの品質すらわからないのが現状だ。

懐かしい話だが、関西国際航空の埋め立てをする時には、中国から海砂や海砂利が大量に運びこまれたが、その大半は最もブランド価値の高い兵庫県家島の沖合に一旦沈められ、それをクレーンで引き揚げると言うトリックが使われたそうだ。数十億円を超える差益は、暴力団の資金源だったと当局は見ている。

バブル時代には、北朝鮮から川砂が大量に密輸され、ゴルフ場のバンカーに入れられた。品質が落ちるものは生コンに入れられた。これもブランド価値の高い地区の砂と偽装され、差益は莫大だったという。

では、最近はどうなのか? 実は近頃、宮城県から驚きの噂が全国を駆け巡っている。宮城県丸森町の採石場を舞台に、「大翔」と言う企業が海洋土木に使用する「捨石」を扱っているのだが、関係を持つ集団の拠点があるという福島県相馬湾を中継基地にして、横浜方面の海洋土木事業を手掛けている大手マリコン業者に「産地を偽装した捨石」として搬入されているというのである。


丸森採石場で捨石を積んだ大翔のダンプ


採石不可の採石場

大手マリコン業者は産地偽装を知っているとの事だが、何故それを放置・黙認しているかは謎のままである。裏に何かあるだろうと誰もが気になる所だが、海洋土木事業は動く金が桁違いなので、大手の業者間では入札争いが絶えないのが実態だ。もしかして、「大翔」を始めとする疑惑の業者たちは、何らかの「貢献料」として産地偽装の捨石を納入させてもらっているのだろうか?

宮城県から全国に発信されている噂話なので確証はないが、今までの海洋土木事業の実態を知っているだけに、「噂は事実」と感じる部分は大きい。

余談だが、別の噂によれば、採石場のある丸森町の山は借金の担保に入っており、勝手に採掘は出来ない筈だと言われている。複雑怪奇な話だが、日常的に不条理が罷り通っているというマリコン業界では珍しいことではないのかもしれない。

この疑惑に登場する宮城県の「大翔」は、どうやら群馬県高崎市の企業と裁判をしているらしいことが判明した。金銭に関する内容らしいが、詳細については不明な点が多い。

この裁判に関連して、採石場の山には仮差押えが決定しているようだが、それを承知の上で大手企業の「東亜建設」「東洋建設」が産地偽装された捨石を納入させているようだ。そのカラクリは福島県相馬港を拠点に行われる「名義替え」が隠れ蓑に成っている。「大翔」の納入した捨石は、「宮城林産」「環境資源開発」「相馬石材組合」に名義が変えられているようだ。

相馬港の石材搬出に関しては、登場する企業は「赤字」を理由に税金や支払いを削除している疑惑もある。赤字が続くのなら廃業や倒産整理の道があるのだが、そちらに動く気配はない。

売り上げが相当あるのに税金を滞納しているなら問題が大きいが、それについては「松浦企業」が詳細を知っているようだ。この相馬港を舞台にした問題で、登場する企業は東北だけでなく関西にまで及んでいる。

海洋土木の業界では違法・脱法・無法が罷り通るのかもしれないが、産地偽装問題に関しては公正取引委員会が興味を持って見ていると言うから、今後は一気にメスが入る予測もある。

日本全体の海洋土木業界から見ればチンケな問題かもしれないが、法令順守の点から考えれば黙過してはならないだろう。コンプライアンスを指導する立場にある大手企業までが、安い捨石を納入させるために違法を黙認していたとすれば、別の問題にも発展しかねない。

他所の国見て我が国直せ。日本の海洋土木業界の闇に当局のメスが入り、風通しが良くなる事を望む。続く。


運転席に「大翔」と「宮城林産1-8バース」のプレート


敬天ブログ敬天新聞社ホームページ敬天千里眼不正疑惑(評判・噂)告発