総合金融業

「NIS(ニッシン)グループ梶vが

債務者に仕掛ける罠

2007/10/15

 既に不景気は去ったかの如く、過去最高の事業収益を記録している企業が多く見受けられる。しかし、それは大企業の一部であって日本経済を下支えする中小企業の大多数が、不況脱却を果たせずに未だ喘いでいるのが現状である。又、その多くが最大の悩みとして資金繰りの問題を抱えており、健全な事業運営に暗い影を落としている。斯様な状況下で、事業家が最も頼らざるを得ないのが金融業であり、昨今は、未だ担保至上主義が色濃い銀行より、より柔軟なノンバンク系融資に依存する傾向が顕著である。なかでも、いち早く消費者金融から中小企業の事業者向け融資に方向転化した「NIS(ニッシン)グループ梶vは、ノンバンク業界を代表する総合金融企業といえる。

しかし、そのニッシンの融資については、利用者である事業主から「債務者殺し」と揶揄される程の、非情な貸付手法を訴える声が引きも切らない。そんなニッシンの代表的な貸付手法だが「根こそぎ奪い取れ」とした債務者を追い込みながら自社利益のみを追求する、従来型の「マチ金」と何ら変わりがない。ニッシンは、既に融資実績がある優良債務者に対し追加融資の案内を提示し、先ずは借金漬けの泥沼に誘い込む。無論、債務者から追加融資の依頼が来れば、鴨ネギとばかりにそれを受け入れるのである。そこでニッシンは「融資は(ほぼ)可能です」と、暫定的にせよ貸付実行の確約を示し債務者をその気にさせる。債務者にしても、自身が事業者として優良顧客と認められているとの思いもあり、資金調達後の新たな事業展開に向け当然のように動き出す。

 そこにニッシンの第二の罠が仕掛けられている。貸付の約定日が迫ったある日、ニッシンは「追加なので貸付利率を上げます」と、貸付条件の変更を一方的に通達するのだ。債務者にしたら「約束が違う」と怒りたいところだが、既に、資金調達を前提に動き出している以上、本来なら絶対に手を出さない高金利による融資を渋々了承する他ないのである。しかし、ニッシンが「債務者殺し」に用意している罠は、これが最後ではない。

 ニッシンは最終決定案として「追加融資の実行には現行貸付金の利率も、追加に合わせ同率(高設定)にします」と、債務者にとっては企業倒産に直結しかけない、死の宣告に等しい仕打ちを受けて、漸く上場企業の仮面を被った薄汚い金貸しとしてのニッシンの正体を知るのである。優良債務者さえも食い物とするニッシンの貸付手法には違法性があるとの認識から、金融監督庁も注視しているともいう。ニッシンの栄華もこれまでか。