吉野石膏鰍フ砒素入り石膏ボード

問題は本当に解決したのか!?

2007/10/01

 平成9年3月のことである。栃木県宇都宮市の石膏ボードの廃棄物を主とする安定型最終処分場において、浸出水に含まれた砒素により、周辺の公共用水域が汚染される事件が発生した。 砒素の発生源は廃石膏ボードと推定されたことから、(社)石膏ボード工業会において砒素等の溶出試験が実施された。その結果、小名浜吉野石膏(株)いわき工場の製品から金属等を含む産業廃棄物に係る『判定基準を超えるレベルの砒素』が溶出することが確認された。これに伴い、新たな汚染の発生防止の為の処置を講じることが検討され、販売在庫の回収が行われたそうである。しかし、問題の製品は昭和48年〜平成9年に渡り製造されており、業界シェアを8割も占めている吉野石膏鰍フ砒素入り石膏ボードは、その頃建てられた多くの一般住宅の中に現在も埋もれている。建物の解体に伴い、砒素入り廃石膏ボードが発生するのは、まだまだこれからなのである。

 最近、アスベストを使用した石膏ボードが問題となっている吉野石膏鰍ニしては、砒素の問題どころではないのかも知れないが、世論の関心の強いアスベストだけではなく、猛毒で知られる砒素についても、しっかりと取り組んでいただきたい。環境問題が取り沙汰されている昨今、吉野石膏鰍煖ニ界最大手として、「地球環境の保護」を企業理念としているのだから、材料に砒素を混入させていた商品が、その頃に建てられた全国の住宅などで使用されていることや、その有害性の有無や解体処理における注意や取り組みなどを、世間一般に告知するべきではないだろうか。それがメーカーとしての義務であり責務である。それとも「地球環境の保護」より、自社利益の保護を行うのか?PL法が制定され、製造者責任が問われるようなった昨今、売れれば良いという訳には行くまい。

 吉野石膏鰍ヘ当紙の取材に対し「建設業者や産廃業者などは平成9年の事件後の通達により知っているだろう」と言っていたが、一部の業界人だけが知っていれば良いのだろうか。無知な輩が行った不法投棄が土壌汚染や水質汚染を引起しかねない。そんな輩を根絶する為にも、その危険性を広く知らしめる必要があるのではないか。吉野石膏鰍ヘ一刻も早く環境省や経済産業省をはじめとする関係各所と共に環境保全と人命尊重の観点から問題解決に取り組むべきである・・・つづく。

一般住宅にも使用されている石膏ボードに猛毒の砒素混入!?
 吉野石膏鰍ヘ砒素入り石膏ボードの危険性を告知せよ!!