今どき7万円
事故の加害者は、確かに大切な顧客だろう。しかし被害者を確りフォローする事が、顧客を大切にする事につながるのでは…?(大東京火災・本社ビル)

 100年の歴史を誇る生命保険会社=千代田生命の経営が破綻した。相次ぐ生保の破綻で、更なる業界再編の加速化は必至と言える。
 既に提携が進められている例としては、太陽生命と大同生命、安田生命と富国生命、第一生命と安田火災海上、朝日生命と東京海上火災と日動火災海上、などが挙げられる。
 また、提携ばかりでは能が無い。今こそ商品の価値やサービスの質が問われる時代なのであり、であるからこそ各社こぞって今までに無い補償内容やサービスを謳ったCM合戦を繰り広げているのである。
 そんな折しもあれ、ある交通事故の被害者から聞き捨てならない情報が当紙の許に寄せられた。聞けば加害者側保険会社の誠意の無い対応にホトホト困り果てているという。その詳細をここで報じたい。

 事故が起こったのは今年7月1日の午後。渋谷区の路上で赤信号のため停車していたSさんは、いつもは停車中には殆ど見ないバックミラーが何故かその日は気になり、何気なく覗いて見た。すると、夏の午後だというのにミラーが暗く感じられたため、よもやと思って顔を左後方に向け肉眼で直視した瞬間、ドーン!という音と共に2tトラックが追突、そのはずみでSさんの乗っていた軽1BOXが前に停車していた乗用車に衝突した。
Sさんの負った傷は、首のムチ打ち症(振り向いた状態で追突されたので斜め方向のムチ打ち症)と、はずみで前の車両に衝突した際に強打したヒザの打撲痛である(1BOXは運転席が最前部にあるため足の怪我が多い)。

 事故を起こした2tトラックは(有)二幸運輸(足立区神明南1-4-15)の所有する保冷車で、運転していたのは同社社員の坂内良信という男だ。現場にブレーキ痕が無いところから察するに、恐らく居眠りか、わき見が原因と思われる。追突されたSさんの車両は後部分が大破し、窓ガラスが割れ、ブレーキランプやウインカーが作動しないため走行は不可能。
 早速Sさんが二幸運輸に電話したところ、オリックスレンタカーから代車が届けられた。無論レンタカーの代金は二幸運輸側の損害保険から支払われている。

 ところが、である。その損保会社がSさんの車を査定し、一方的に決定した金額を通知してきた。その金額というのが、ナント「7万円」なのだそうである。この信じられないような馬鹿げた金額を通知してきた損保会社こそ、かの有名な『大東京火災海上保険(株)』である。
 誤解を避けるため1
つ断っておくが、本紙面冒頭で紹介した東京海上火災と、この『大東京火災海上』は全く関係の無い別の会社である。お見知り置きを。

 それにしても7万円とは何事か。何をどう計算したら7万円になるのか甚だ不思議でならない。
事故の原因は100%追突してきたドライバーにある。この事はドライバーの坂内、二幸運輸、更に大東京火災も認めている。それ以前に第三者から見ても、停まっている車に後ろから追突したんだから、2t車が悪いに決まっている。
 なのに7万円である。いったいコイツ等は何を考えているのか。車検や税金等その他諸費用を含めて7万円で中古車でも買え、とでも言っているのか。いまどき7万円じゃ安モノの自転車ぐらいしか買えまい(最近流行のBMWやポルシェの自転車は50〜60万円するそうです)。そんな御時世に7万円なんぞという戯けた金額をホザいて恬として恥じない保険会社の常識と神経を疑わずにはいられない。

 
 被害者無視
専門家曰く「後部ドア、バンパー等の交替、ボディーの歪みの矯正…どんなに安く見積もっても30万はかかる」との事。
 Sさんの車の修理代金を整備工場で見積もってもらったところ、30数万円という金額が弾き出された。つまり、元通りにするために修理すると30数万円掛かるから「7万円の査定」でお茶を濁そうとしているのだ。

 そもそも素人にとって、保険会社が下す『査定』という言葉の響きには、ある種の強迫観念のようなものがある。如何なる反論も受け付けない裁判所が下した判決の如きニュアンスが、暗黙の内にそこには込められている。だからこそ保険会社は「サテイは7万円です。7万円というサテイが出た以上、ビタ一文負けるわけにはいきません」といった横柄な態度で被害者を恫喝して憚らないのだ。
 しかし、追突されなければ、あと10年でも20年でも乗る事が出来たに違いない。どんな物差しで計って7万円と決めたのか知らんが、これ程いい加減で充てにならない数字はないのである。お金は要らないから車を元通りにして返せ!と言いたくなる。

 そればかりではない。大東京火災はSさんの見舞金を10万円と決めたそうだ。この十万円という見舞金にしろ、7万円という中古車代の一部?(修理代の5分の1?)にしろ、まったくもって人を馬鹿にしているが、無論Sさん側は了解しておらず、一銭も受け取っていない。
 但し、病院の診療費、薬代等は全て大東京火災から支払われているとの事だがそんなのはアタリマエ。痛い思いをした分だけ既に大損だし、病院に通う事で貴重な時間も割いている。
 ところで、大東京火災は被害者の事故後の生活は補償しないのか。Sさんに対して見舞金10万円と車代7万円以外には、何の知らせも提案もないそうだ。

 Sさんは建設現場で働く40代の男性だが、以前は一流大手の建設現場で仕事が出来たが今は全く出来ないという。一流大手の現場には必ず「新規入場・健康診断書」なるものがあり、健康に異常が無い事をそれに記入しなければ仕事をさせて貰えないのだそうだ。
 建設業大手も現場で怪我をされたんでは、たまったものではない。事故や怪我に繋がる恐れがあるから、万全な健康状態の作業員しか雇わないし、記入内容に嘘偽りがあれば、厳しいペナルティーが作業員に課せられるのである。
 Sさんは未だに右側を向く度に体ごと向けなくてはならないそうである。これは現場で働く者にとってかなり深刻な症状と言える。
 従って現在、生活を支えるため(言葉は悪いが)二流三流の小さな現場で働いている。首の痛みは未だに激しいが、小さな現場なら診断書の記入もさほどうるさくないので、痛みと相談しながら何とか頑張っているという。
 大手の現場で働けなくなった事で、Sさんの月収は以前の4分の1にまで下がったそうだ。繰り返すが、4分の1だけ減ったのではなく「4分の1になった」のである。これに対する補償責任が大東京火災にあることは言うまでも無い。

 しかしそれ以来、大東京火災は梨のつぶてで一切何も言って来ない、と思っていたSさんの許に突然一通の封書が送られてきたそうだ。見ると弁護士から寄せられたもので「坂内良信、二幸運輸、大東京火災から委任を受けたので今後の連絡等は全て我々弁護士の方まで」という内容だったという。
 失礼千万な話だ。何度も言うが、自分で追突して怪我を負わせておきながら、しかも自分達に100%の責任があることを認めておきながら、よくもこんな事が出来るもんだ。
 
 三百代言
 坂内は、事故現場ではもちろんSさんに対して詫びたそうだが、それ以来正式な謝罪にも訪れないばかりか電話の1本すらよこさないという。しかも二幸運輸の代表者なり担当者も同様に謝罪してこないそうだ。(もちろん電話も無い)
 そして大東京火災は前述の如き戯言・暴言の類を口から発することはあっても決して詫びるような事はしないし、弁護士に至っては「用があるなら銀座の事務所に来い」だそうだ。
 彼らのような弁護士の信条は「依頼者のためなら黒でも白に」することであって、勧善懲悪ではない。お金をくれる依頼者が全てなのである。本来ならば菓子折りの1つも持って「この度はご迷惑をおかけしまして云々カンヌン」と頭を下げに来るのが我々日本人の『礼』ではないのか。
 保険会社であれ弁護士であれ、事故を起こした側に依頼されたんなら、加害者に代わって頭を下げるのも1つの仕事・役目である筈だ。何故踏ん反りかえっているベンゴシセンセイの事務所に、被害者側がイ ソイソと足を運ぶ必要があろうか。馬鹿も休み休み言え!

 Sさんは未だに大東京火災が手配したレンタカーを使用している。少々燃費がかさむ事も問題だが、何よりも(自分の車ではないので)汚したりぶつけたりする訳にはいかない、と神経を使うことで、心労が絶えないという。
 赤信号で停車する度に後ろを確認するのが癖になった、とSさんは沈痛な面持ちで語ってくれた。大東京火災がマトモな損保会社だったとしたら、このまま放置する筈は無いと思うのだが…。
 
 野球トバクで8,000万円?
 話は変わるがこの大東京火災、あちこちで問題を抱えている。
 例えば福島県いわき市の小名浜支社では、同支社長の石井俊行なる男がとんでもない事を繰り返しているという。
 なんでも地元の(有)H木材から約8,000万円の借金があるらしいが、この多額の借金が大東京火災の業務規約に著しく違反する事は言うまでも無い。聞く所によると、この8,000万円は本社への未納金の支払いや、石井支社長のギャンブルで作った借金の返済に充てられた可能性大である。
 その証拠に石井支社長が地元のヤクザとの野球トバクに、かなりのめり込んでいるとの情報が寄せられている。

 また、平成10年7月頃には某石材屋(木材や石材が好きな奴だな)に金を貸してあげたらしいが、その取立てに関西方面のヤクザを使って散々嫌がらせをさせたらしい。たまりかねた某石材屋が大東京火災の本社や支社にこれを暴露し、本社から叱られたのか、それ以来ピタリと嫌がらせが止まったそうだ。
 こんな男に支社長を務めさせる位だから、正しくこの会社にしてこの社員ありである。ヤクザを使った石井支社長による嫌がらせ行為を本社が止めさせたという事は、本社がこの事を知らない筈は無い訳だが、果たしてこういった不祥事の責任を、大東京火災はどのようにして取るつもりなのか。
(つづく)
 
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