笑って済ませられる問題でしょうか?
福島県原町市の産廃処理場予定地。工事差し止め訴訟の判決に注目が高まる。円内は知らんぷりのNEC西垣社長。

一部の記者仲間では根強い噂になっていたのだが、何せ荒っぽい闇の軍団と節操の無い金喰い政治屋をワンサと飼ってることで有名なNECだけになかなか手が出せなかったが、いよいよボロが出始めた。
 ここ最近では本業より関本名誉会長の息子についての中傷話題が多く、チョッと疲れ気味の社員も多かったろうが、今回は出方次第で本業の体制に大きく響く可能性もある。社員も笑って済ませられない事件である。

 NECが51%出資している企業に(株)高和という資源回収及びビルメンテナンスを専門にしている会社がある。この会社は1969年以来、NECの各工場から排出される産業廃棄物処理と製品のリサイクル事業を担当しているというから、いわゆる100%子会社のようなものである。
 その高和がJR貨物とタイアップして事業展開していくことで、今非常に注目されている。実際に品川区内の東京貨物ターミナル駅の用地と建物を提供。高和が事業主体となり、20,000平方メートルの土地に4階建ての産廃処理施設棟と3階建ての保管棟を建設中だ。

 こんな立派な会社(表向き)が詐欺の片棒を担ぐとは信じられないが、いや、今のところは「知らなかった」「そんな事実は無い」という形でシラをきるだろう。
いやもっと正確に言うなら、詐欺師に偽造された株券を摘まされたマヌケな被害者を演じている利口な社長、いやいや詐欺師が株券を偽造した事は知っているが、そんなモノ買い取ってしまえば後は硬軟(暴力と金)織り交ぜてどうにでもなるという強面やり手社長というべきだろう。
まさかこの何れでもなく、本当に正式に本物の株券が売買されて、中西社長の手元にある株券は「本物の株券である」と信じているんではないだろうね。それならコロンボ警部にお願いして、このストーリーを解き明かして行きましょう。

 高和(=現会社名シンシア)が買い取った(株)原町共栄クリーンは平成3年8月19日に設立された(福島地方法務局原町出張所発行登記簿謄本参照)会社である。
 この会社は産業廃棄物最終処分業、中間処理業、収集運搬業を目的に、相葉政宏氏狩野勝氏が中心となって設立した会社で、株券は200株発行し、相葉氏100株、狩野氏100株を持ち合い代表取締役は相葉氏であった。
 発行当時の株券を見れば番号、株主名、会社設立年月日、発行年月日が空欄となっている。只何故かこの株券に無効のゴム印と共に右上から左下にかけて大きく斜めに線が2本引いてある。
 本物の株券に無効とは何を意味するのか謎は深まるばかりだ。

 
 議事録偽造で狩野氏逮捕!
この建物の2階の一室に原町共栄クリーンが本社を構えているとは信じがたい。動かした金額と不釣り合いでは?円内のフテブテしいツラは(株)高和の中西雄三社長。

 ところで、平成9年3月18日付けで狩野勝―中平悦子(本名=明美)間で(株)原町共栄クリーンの全株200株の譲渡契約が締結された。ここで少し補足説明が必要である。
 設立当時の代表取締役は相葉政宏氏であったが、平成4年11月12日に狩野氏が代表取締役に就任しているのである。この狩野勝―中平悦子(本名=明美)間で譲渡された200株のコピーが筆者の手元にあるのだが、見れば見るほど摩訶不思議なのである。
 中平に渡された株券は、001号〜100号までの100通(下段B)と101号〜200号までの100通(同C)であり、何れも株主欄には『狩野勝』と記載されているが、001号〜100号までが印刷であるのに対して101号〜200号はゴム印である。
また何れも発行日は平成3年8月20日とあり、代表取締役が「狩野勝」と記載されている。
 しかし前記発行日は設立日の翌日代表取締役は相葉政宏氏であって狩野勝氏ではない。
 しかも株主欄には相場氏の名前が何処にも見当らないが、少なくとも半分の100株には相葉氏の名前が記載されていなければ矛盾するから、これらの株券が偽造された無効な株券であることは明らかである。ついでに言えばゴム印製の株券には会社角印も押していないという杜撰なものである。

 また狩野勝―中平明美間の株式200株譲渡契約締結に伴ない、株式譲渡承認決議がなされたように同日付け取締役会議事録が作成されているが、この取締役会議事録に出席したと記載されている相葉政宏氏は当時脳出血の後遺症で出席不可能であり、偽造されたものである事は明らかである。その証拠に狩野氏は、この議事録偽造で警視庁大井警察に逮捕されているのである。
 その後平成11年6月10日付けで中平明美―(株)高和間で、狩野氏から譲渡した200株を金1億円にて売り渡す旨の契約が締結されている。この契約に基づき高和に引き渡された株券は前記001号〜100号と101号〜200号の、何処から見ても偽造の疑いのある200通である。この限りなく偽造に近い株券を現在も高和は保有しているのである。
 只関係者の話などによれば、狩野や中平の借金額や入り乱れた裏社会の整理をして、原町共栄クリーンを手に入れるのに高和が投入した金がとても1億円とは信じ難いが……。
現に筆者の知人が中平に「この会社を仕上げれば20億にはなる」と甘言に釣られて約1億円の金を騙し取られているのである。
 その期限もあくまで高和との契約が終るまでとの約束であり、返済期日を何度も騙された知人は高和の中西社長宛てに「中平の取り分の債権は自分にあるので、直接中平に支払わないで欲しい」と内容証明まで打っていたという。
 知人の顧問弁護士は債権確保の手続きとしては万全とまで言ってたらしいのだが、にも拘らず高和は中平に全額を支払い、中平は姿を消したという。当然知人は中西社長相手に提訴中であるが遅々として前進しないのである。

 この複雑怪奇な買収劇のカラクリをひも解いて行くと、詐欺師、事件屋、暴力団の絡み合う中でそれを上手に利用する中西社長のスゴ腕の一面が見えてくる。
 (株)高和は中平明美から買い取った200株の株主として平成11年7月1日開催の株主総会で授権資本を800株に変更する決議をし、同年7月28日に200株を増資、同年12月22日に更に200株を増資し、現在は600株を保有している。
 しかし高和が中平から買い取った200株が偽造された無効な株券であった場合には、増資手続きは何度繰り返されようがすべて無効なものであり、同社は株式会社原町共栄クリーンの株式を一株も保有していない事になる。
 従って(株)原町共栄クリーンを現在経営している代表取締役中西雄三氏以下役員は全員違法な手続きにより選任されたものであり、適法な資格を有しない者であると言わざるを得ないし、現在は適法な資格の無い者たちにより違法な経営が行なわれている事になる。

 当然相葉政宏氏は(株)原町共栄クリーンを被告として平成12年1月に、授権資本を800株に変更する定款変更決議をなした同11年7月1日付株主総会決議不存在、及び同年7月2日付200株の新株発行、同年12月22日付200株の新株発行無効確認提訴を提起し、さらに中西雄三等高和側役員の選任をなした同12年3月31日付株主総会決議不存在及び相葉が100株の株主であることの確認訴訟を提起し、現在審理中である。
 これらの訴訟により(株)高和(現商号名株式会社シンシア)の役員連中は事実関係を熟知していると思われる。では何故この様なことが起こったのか、本物の株券は今何処にあるのかこれから説明しよう。

 

 西垣、中西両社長の切っても切れない縁

 いやその前に、シンシアの役員連中が熟知しながら何故この件を頬かむりするのか考えてみた。
 1つには中西社長のワンマン体質がある。上場を目指そうという程の立派な実績と独立した法人でありながら、未だ中西商店の域を出ない個人会社的発言力を彼が1人で持っているのである。ヘタに反対意見を言おうものならクビか左遷が待っている。利口な役員は見猿言わ猿聞か猿である。日本人が永く美徳としてきた文化が化石となって未だ立派に生きているのだ。
 もう1つの情報にはNECのニューヨーク支局で本年6月に大イベントが控えておりどうしてもそれが終るまではこの事実を伏せたい、という西垣社長の強い意向があるらしい。それでとにかく裁判を延ばせというのが至上命令だというのである。でもこちらの情報が事実ならNECもこの詐欺、偽造株券売買事件を知っている事になる。
 あと1つは西垣社長と中西社長の出身地が同じらしく、長年に亘り助け合ってきたという。大きな利権を生み出す決済権を持つが使える金が自由にならない西垣社長と、大きな仕事さえ取れればいくらでも自由に金を使える立場の中西社長が組めば鬼に金棒である。

 そう言えばこういう噂もある。赤坂の料亭「高悦」の仲居を西垣社長がえらく気に入り、その女性に店を出させたがその費用の一切を中西社長が負担したというもの。2人の関係をよく表した、もっともらしい話である。
 孫会社の仲ではあるが、原町共栄クリーンは平成10年3月31日付で産業廃棄物処理施設設置許可を取得しているし、平成12年6月に安全祈願祭を行なって最終処分場建設工事(第1期工事200億円)を鹿島建設が担当、現在工事中である。しかし、この最終処分場の建設に反対する市民グループ「産廃から命と環境を守る市民の会」(大留隆雄会長)等が中心となって反対運動を展開しており、また処分場予定地の18%の土地を買い取った大留隆雄氏等市民六名が平成13年3月23日に原町共栄クリーンを被告として処分場の工事差し止めを求める訴訟を提起し、更に工事差し止めを求める仮処分を提起している。
また原町共栄クリーン及び役員5名は本年3月1日に廃掃法違反、県景観条例違反容疑で書類送検されているのである。
前から後ろからジワジワと包囲されている原町共栄クリーンであるが、マネーロンダリングよろしく偽造株券でも増資、増資で薄めていけば、いつか消えてなくなるという戦法なのか?
まさか業界初の快挙となる上場を目指してる企業がそのような詐欺師同然の発想をお持ちとは考えられないが、とにかく不思議だ。本物の株券は何処へ?何故偽造株券がシンシアの手に?謎だらけなのである。

A:こちらが本物の株券。株主名や日付けの欄が空白になっており、中央には「無効」のゴム印、そして2本線が引いてあるが、これらは何を意味するのか?

B:これがニセ株券の前半100枚(001号〜100号)だ。株主名はゴム印でなく印刷されている。そもそも平成3年8月20日は会社設立日の翌日であり、代表取締役は相葉氏では?

 

C:こちらはニセ株券の後半100枚(101号〜200号)。株主名はゴム印で、会社角印が無い。それに、少なくともどちらか100株の株主は相葉氏でなければおかしい。

 

 
 役員選任手続きも、600株も、全て無効

 ところで当紙が報じれば必ず刑事事件に発展すると噂されているが、この件に何処よりも強い関心を持ってる企業がある。
 (株)エンバイロテック(旧・神環保)だ。この名前でピンと来ない人は厚木米軍基地の隣接地のゴミ焼却炉から出るダイオキシンに米軍がクレームを付けたという話ならご存知だろう。
 この件では及び腰の日本政府が米国の機嫌を損ねないように様々な行政的圧力を加えたらしいが、ガンとして一歩も引かなかったという。そんな村田会長も日米関係の悪化を危惧する人生の先輩や恩人、業界の重鎮の声には逆らえず(ヨオッ、これぞ日本人!)ついこないだ焼却炉を解体する決断をし、日本政府と賠償等について合意契約を結んだばかりである。
 そのエンバイロテックの代表者である村田氏に、今回の件を取材した。以下はその一問一答である。

―(株)エンバイロテックは、隣接する米軍厚木基地との永年の排煙に関するトラブル解決の為に、4月20日付で国との間に焼却施設解体に関する補償契約を締結した事がマスコミで報道されましたが、この契約を締結した理由を聞かせてください。
 「第一の理由は、(株)エンバイロテックの焼却炉にバグフィルターを設置した事により排出ガス中のダイオキシン類濃度が67分の1以下に低減し、基地内で測定された大気中のダイオキシン類濃度も環境基準値を大幅に下回り、アメリカが提起した操業停止の仮処分に勝訴する事が確定的となったためです。
第2の理由は日本政府、建設業界、廃棄物処理業界等のしかるべき人物から日米関係を悪化させない為に協力して欲しいと懇切丁寧な要請を受けた為で、焼却炉を解体する決断をしました」

―(株)エンバイロテックが、(株)原町共栄クリーンの経営権を買い取る話が出ていますが、その件につき経緯を聞かせてください。
 「(株)エンバイロテックは焼却炉解体後は、中間処理(選別、圧縮)をした廃棄物を処理する為に産業廃棄物最終処分場を自営する計画をもっており、(株)原町共栄クリーンの情報も検討調査しています」

―(株)原町共栄クリーンの商業登記簿を見ますと設立時の発行済株式は200株で、平成11年の7月と12月に増資されて現在の発行済株式は600株と記載され、また平成12年3月31日に中西雄三らの(株)高和側の人物が役員に就任した旨登記されており、設立時に100株の株主であった相葉政宏氏から増資無効、役員選任決議不存在等の訴訟が提起され、現在も継続中ですが、その事実関係は調査されましたか。
「設立時の株主は相葉政宏100株、狩野勝100株の2名でした。経過は省略しますが、この2名の株券は狩野により融資の担保として第3者に差し入れられていました。
 ところが、狩野と中平明美という人物が(株)原町共栄クリーンの株券200株を偽造して、平成9年3月に狩野から中平が(株)原町共栄クリーンの発行済株式200株全部の譲渡を受けた旨の契約書も作成し、中平が真正な株主として三井建設、丸紅、フジタ等に(株)原町共栄クリーンを買わせようと画策し、平成11年6月10日付で中平から(株)高和に、この200株が譲渡されています。
 (株)高和は、中平から買い取った偽造株券を根拠に株主と称して以後の増資及び役員選任手続きをなしているのですから、現在(株)高和が保有する(株)原町共栄クリーンの600株は無効なものであり、中西雄三ら役員全員の選任手続きは無効だということが調査の結果判明しています」

 
 NECにとって重大な問題!

―相葉政宏氏は、設立時に発行された真正な100株の株券を現在所持しているのですか。
 「相葉が狩野を大井警察に告訴した際に担保に差し入れていた株券を警察が押収し、警察から相葉に返還されており相葉が現在これを所持しています」
―そうしますと(株)エンバイロテックは相葉から100株を譲り受けるのですか。
 「そうですが、前記訴訟で相葉が勝訴する事が前提です」
―(株)高和は本年4月に(株)シンシアと商号変更をしておりますが、NECが発行済株式の51%を保有しており同社の子会社と言ってよいと思います。
 (株)原町共栄クリーンは既に処分場の第1期工事に着手しており、金200億円と言われている工事費用はNECが負担していると聞いていますが、(株)シンシアが中平から買い取った株券が偽造ということが事実であればNECにとって重大な問題となりますね。
 「いまお話した事は私共が調査した結果に基づくものですが、御社でも調査してみてください」
(以上)

 とまぁこのように、村田会長も高和が所有する株券は偽造であるとの見解を示しているが、高和の中西社長はこのまま知らん振りを決め込むのだろうか。どこまでトボケ通せるか、今後の展開に注目したい。
さて次回は、高和による原町共栄クリーン乗っ取り劇に絡んで、中平から約1億円を騙し取られたS氏の件について詳しく報じて行こう。   
〔以下次号〕

年 月 日
(株)高和による企業買収とニセ株券売買の経緯
平3.8.19
(株)原町共栄クリーン設立。相葉政宏が代表、狩野勝が役員に就任し発行株式(200株)を折半で保有。
4.11.6
狩野が代表に就き、相葉は役員に降格。(株の保有は以前のまま)
9.3.18
原町共栄クリーン取締役会の承認後、中平明美に同社全株券が譲渡されるが、同社設立時の株券でないことが後の調査で判明。(偽造の疑い有り)
10.3.31
共栄クリーンが『産業廃棄物処理施設設置許可』を取得。
11.6.10
中平が所有する偽造疑惑がもたれる共栄クリーン株券全部を(株)高和の中西雄三代表に1億円で売却する。(高和による事実上の乗っ取り)
11.7.1
共栄クリーン株主総会((株)高和主導)で授権資本を800株に変更、採択される。
11.7.28
共栄クリーンが200株増資。
11.8.31
中西雄三が共栄クリーン取締役に就任する。
11.12.4
狩野が、中平に株券を譲渡した際の取締役会議事録を偽造したとの容疑で、大井警察署に逮捕される。
11.12.7
共栄クリーンの資産に、(株)高和が極度額16億円の根抵当を設定し凍結。
11.12.24
狩野が釈放後、相葉と示談書を交わす。大井署が共栄クリーン代表中村豊から証拠品として押収した相葉名義の株券が本物であると認める。
11.12.31
相葉が示談書と引き換えに、押収品100株券の返還を受ける。
12.1月 
相葉が(株)高和を相手に、株主確認及び新株発行無効確認訴訟を提起。(現在審理中)
12.3.31
中西が共栄クリーンの代表取締役に就任。(乗っ取り完了)
12.6.8
共栄クリーンが念願の最終処分場建設工事に着工。(第1期工事200億円)
13.3.1
共栄クリーンと歴代の同社代表5人が、廃棄物処理法違反と県景観条例違反の容疑で、書類送検される。
13.3.23
処分場建設中止を求め、市民団体が共栄クリーンを提訴。
 
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