NTTを筆頭に情報産業関連会社の社員(約27万人)で構成される労働組合=情報産業労働組合連合会(千代田区神田駿河台3-6全電通労働会館5階・津田淳二郎委員長)が、組合員の積み立てた年金共済保険料のうち約6,000人分=300億円を組合員に無断で解約し、先物取引で一儲けを企らむも敢え無く失敗。85億円は回収できたものの、残りの215億円が回収不能となっていたことがわかった。

 情報労連は、NTTグループや国際電話のKDDなど、情報産業関連会社を筆頭に466企業・242組合で構成される労働組合の集合体のようなもので、27万人もの組合員を擁する機関だ。
 情報労連が先物取引に走ったのは平成五年の事で、当時約1,295億円の保険料を東邦生命(昨年6
月に破綻)に積み立てていたが、景気低迷に伴う低金利もあって運用実績は伸び悩んでいた。
 そこで、東邦生命と共謀して、組合員がコツコツと積み立てた年金共済保険料約6,000人分=300億円を握りしめて“伸るか反るか”の大博打に出て大損した、というお話である。

 断っておくが、もちろん情報労連の幹部が現金を握り締めて茅場町へ走った訳ではない。それは飽くまで表現方法の1つだ。(当たり前か…。300億円なんて握り締めるどころか、人が1人埋もれてしまう額だもんなぁ。あぁ、筆者も埋もれてみたいッ…)
 几帳面に説明すると、情報労連と東邦生命がその300億円を五年後に再び入金する(元に戻す)という覚書を交わし組合員に無断で解約。港区の某投資顧問会社に運用を一任し先物取引という名の蟻地獄にはまって行った、という事だ。

 この間、もちろん情報労連はこのことを組合員に一切知らせていなかったが、東邦生命も、保険を解約した組合員に従来どおりの積立金残高を通知していた。
 まあ、そうでもしなきゃバレるわな。
 それにしても労組と生保が共謀して組合員を騙すとは何たる事か。労働者(組合員)の権利を擁護する立場の組合が、運用という名の金儲けに溺れ、その権利を阻害しているのだから、本末転倒としか言いようが無い。
 これじゃあ組合員は企業に賃上げを要求したり国政を批判する前に、まず自らが所属する組合にこそ改革を訴えねばならなくなる。

 
 莫大な手数料
津田淳二郎委員長

 話を戻すが、平成5年当時、情報労連と東邦生命の“皮算用”では、注ぎ込んだ300億円が5年後には390億円になる“予定”だった。
 ところが、そうは先物取引会社が卸さない。現状維持どころか大負けに負けて85億円しか残らなかったから、さぁ大変。
 期限を2年も経過した昨年6月、東邦生命が破綻しGEエジソン生命に事業譲渡が決まった時点で、東邦生命は覚書通りに再入金を情報労連に要求。
 ♪困ってしまってワン、ワン、ワンワーンの情報労連は、これまた組合員に無断で『ストライキ資金』の中から245億円を担保に金融機関から融資を受けて穴埋めにあてた。
 この『ストライキ資金』とは、ストライキ中にカットされる組合員の給与を組合が補償するためのお金である。―アンタらって何でもアリなのね…―
 また、先物業界関係者の話では、ここで登場する先物取引会社とは『太陽ゼネラル株式会社』(中央区銀座8-12-7・中西勝也社長)との噂で、同社は取り引きの手数料として実に122億円もの利益を得ていたと言われている。

 それにしてもこの122億円という額は、余りにも大き過ぎはしないか。先物取引では大豆や石油、金や銀など色んな商品が取り引き出来る。手数料はその商品によって異なるが、果たして何を何回ぐらい取り引きすればこんな莫大な手数料が発生するのか。
 それに、情報労連は300億円ものカネを注ぎ込んでおきながら、90億円の利益を得るために122億円もの手数料がかかる事を知らなかったのだろうか。
もし知っていたならば、何故こんな割に合わない取り引きを、好んで何度も繰り返したのか。
逆に知らなかったとすれば、投資顧問会社や先物取引会社を訴えてもおかしく無い話である。

 何せ「300億円が390億円になる」と言われて?運用?を任せた結果、85億円にまで大負けし、先物取引会社だけが122億円も儲けたのだ。普通なら抗議するなり告訴するなり何らかのアクションを起こすだろう。
 ましてや、組合員のカネを無断で注ぎ込んでいるのだ。必死で取り返そうとする筈だ。しかし、情報労連には未だそれらの動きは一切見受けられない。
 こうなってくると、もしや儲けなんざぁ端っから期待していなかったのではないか、とさえ思えてくる。無論、儲かればそれに越したことは無いが、仮に大損しても自分達だけは得をするような、良からぬ策略でも企てたのではないか。

 
 儲けたのは誰?
よ〜〜く見ると、5階から火の手があがっているように見えなくもない、千代田区神田の全電通労働会館

 300億円ものカネが動けば、ただ動いただけで誰かが潤ってもおかしく無い。即ち情報労連、東邦生命、投資顧問会社、先物取引会社、それぞれの組織の誰かがバックリベートを貰うようなメリットが無い限り、こんな馬鹿げた『運用』はあり得ないのではないか。

 例えば今騒がれている自治労では、右翼団体への対策費という口実で7,000万円の裏金を作っていたが、実際には関係者が各自懐に入れていたため、当の右翼団体には1,000万円しか渡っていなかった。
 自治労側では7,000万円が右翼に渡ったと思われていただろうし、右翼側では1,000万円しか動かなかったと思っていただろう。
 このような事実は、今回たまたま逮捕者が出たから全容が分かったようなもので、公権力を伴った捜査が行われない限り、関係者は最後まで嘘をつき通すし、真実は闇へと葬り去られるのである。
 更に、情報労連関係者が投資顧問会社の系列会社役員に就任している事も踏まえると、やはり関係者に実入りの話がなければ、これだけのカネは動かないのではなかろうか。

 以上、ここまで述べてきた内容を太陽ゼネラル(株)に直接取材したところ「調べて1週間後に返答します」という事だったが、一週間後には「分からない、答えられない」に豹変した。
 事実だとすれば大問題なのだから、もし関与していないのならキッパリと否定する筈だ。しかし同社は肯定も否定もしないのだ。つまり堂々と否定できないというのがその答えだという事か…?
 最後にもう1点だけ不可解な事は、大手新聞社がこれら一連のネタを掴んでおきながら、昨年暮れに少しだけ報じただけでそれ以上追及しないという点だ。これだけ大きなネタを途中放棄するということは、余程莫大な額の広告費でも貰って某大企業の1面広告でも載せたのだろうか。
 ともかく、これだけの大事件なのにマスコミはおとなしいし、訴訟も起こらなければ責任問題も噴出しない。
 今をときめくエリート企業=NTTを中心とした労連なだけに、215億円ぐらい大したカネじゃ無いってことなのかなぁ…?

 
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