「東ゼネ」破綻 労連は回収不能
そのうち「俺達の金を返せ!やまぎしぃ〜!」ってな風に、裏事情を知ったNTT労組の組合員諸君に取り囲まれたりするかもね(全電通労働会館)
 商品先物取引大手の『東京ゼネラル』(以下「東ゼネ」)が遂に破綻した。本紙による糾弾が少なからず効を奏したものと自負している。

 思い返せば、東ゼネの記事が初めて本紙の紙面を飾ったのは、今から約2年半前の平成13年11月号。「情報労連」の組合員らが加入する年金共済保険料約300億円(約6,000人分にあたる)が加入者に無断で解約され、先物取引に投資されていた問題で、情報労連からその運用を任されながら、大穴を明けさせた投資会社として報じたのがその始まりである。

 それ以降計3回に亘ってこの“情報労連・巨額損失事件”(と東ゼネの係り)について報じたが、これらの記事をご存知ない読者のために、あらためてお浚いをしておこう。事の顛末はこうだ。

 『情報産業労働組合連合会』(情報労連)は1993年当時、東邦生命(その後経営破綻)など8社に総額約1,295億円の保険料(年金共済保険)を積み立てていた。しかしバブル崩壊後の超低金利時代にあって、運用実績が思うように上がっていなかった。

 そんな折、東邦生命の取締役=平畑眞一が、この年金共済保険を東ゼネで運用するよう、情報労連に持ち掛けてきた。

 この話にマンマと乗せられた情報労連は、保険料のうち約300億円を加入者に無断で解約、東ゼネに運用を委託した。条件は、満期(5年後の98年)に元利合計で389億円を情報労連に返還するというものだった。

 これに先立って、情報労連は東邦生命と“覚書”を締結する。内容は、300億円(分の保険契約)は一旦解約はするものの、東ゼネが運用を終える5年後にはもう一度同生命に戻す、といもの。これらの事実は加入者には一切知らされず、東邦生命も解約した保険加入者に従来通りの積立金残高を通知しながら年金の給付も続けていた。

 
 保険の無断解約 山岸の指示か?

 ところが、満期の98年に東ゼネから戻ってきたのは、たったの85億円だけ。約300億円もの穴が開いてしまったのである。

 300億円は東邦生命に返さなくてはならない大事なお金。困った情報労連は身内であるNTT労組に泣き付き、東京労働金庫から同労組の「ストライキ資金」を担保にして245億円を借り入れ、東邦生命に返金したのである。

 これらの事は極秘裏に行なわれたが、翌年の暮れに読売新聞にスッパ抜かれてしまう。

 情報労連は、一連の行為は、資産の運用を任せていた関連団体の「電通共済生協」が勝手に行なったと釈明、同生協のトップ数名の辞任でお茶を濁した。

 その後約70億円は回収されたものの、未だに230億円は手つかずの状態にある。事件のあらましは以上である。

 だが、これは飽くまで表向きの話に過ぎない。

 先述のとおり、組合員が加入する保険が無断解約され、その資金が東ゼネに注ぎ込まれたのが93年。その当時、情報労連(そしてNTT労組)の中央執行委員長を務めていたのは山岸章である。この男、“労働界の荒法師”“一匹狼”などと周囲から怖れられ、同労連内部に於ける権力は絶大なものがあった。

 そんな状況下で「電通共済生協の理事長=五関何某が、山岸委員長の印鑑を無断で使用した」(同労連の釈明)などという事が、果たして起こり得るであろうか?当然答えは“NО”である。それを裏付けるかのように「生協の理事長レベルでは全く不可能なこと。もっとも、彼(五関)にそれだけの度胸はない」と証言する関係者までいる。

 そう考えると、山岸の指示の下、横領計画は実行に移され、五関はスケープゴートにされたに過ぎない、と見るのが妥当であろう。

 では、特別背任や業務上横領などの罪に問われる危険を冒してまで“先物取引への投資”などという一発勝負に打って出た、山岸の思惑とは一体何か?私的な蓄財か?否、それにしては金額が余りにも大きい。

 その謎を解く“鍵”は、以前から関係者の間で実しやかに流れていた、ある一つの噂に隠されていた。

 
 小沢へ20億? 噂される闇献金
さすが「連合」の初代会長を務めるような人は、チョロまかし方もホント派手だね、山岸君。
 その噂とは「東ゼネの飯田社長から小沢に20億の金が流れた」というもの。言うまでもなく“小沢”とは、現民主党代表代行のあの小沢一郎である。

 確かに、この飯田という男は、以前も当時の大蔵省(現財務省)主計局次長=中島義雄に便宜を図って貰った謝礼として、借名口座に3,000万円を振り込んだ前歴がある。小沢に億単位の裏金を貢いでいたとしても少しも不思議ではない。だが当時、本紙記者が幾ら躍起になって調べてみても、“小沢”と“東ゼネ”を結ぶ線は出てこなかったのである。 

 ところが少し視点を変えて、この“東ゼネ”を“山岸章”に置き換えてみると全ての辻褄が合ってくるのだ。当時の政局を少し振り返ってみよう。

 93年といえば非自民の七野党一会派からなる「細川連立政権」が誕生し、38年間綿々と続いた自民党による一党独裁体制が崩壊、国中が沸き返った年である。山岸は、当時新生党の党首だった小沢と組んで「一日共闘」を実現、この細川政権の誕生に大きな役割を果たした。

 この「細川政権の誕生」と、「東ゼネへの300億の運用委託」の時期が符合する意味合いとは一体何か?

 つまりは、細川政権樹立の為の“闇献金”の捻出、これこそが山岸が300億円の横領、そして先物取引という危険な賭けに出た、真の動機ではなかったのか。

 無論、本紙のこの指摘も現時点では推測の域を出ない。しかし、この指摘が正鵠を得たものであれば、山岸の、そしてその事実を隠蔽した情報労連(即ちNTT)の行いは、万死に値する。

 損失額約230億円。“労働界の荒法師”等と煽てられ有頂天になった馬鹿者が、情報労連に残した傷跡は余りに大きい。東ゼネが破綻した今、その巨額の“ツケ”は末端の組合員が支払うことになりそうだ。

 山岸は「俺は予科連で自決に失敗した。折角拾った人生だから、死んだ戦友に誇れることをやりたい」とよく口にするという。

 それじゃあ、せめてもの償いに腹でも切りますか、山岸クン。
(つづく)

 
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