▼今、アスベストが世間を騒がせているが、私がアスベストの危険性を訴え警鐘を鳴らしたのは、もう10年以上も前になる。当時まだ新聞を発行していなかったし、ワープロで関係者のみの配布だったので影響力もさほどなく、ましてやインターネットが今ほど普及していなかったので他に打つ手を持たなかった。10年経って今、当時と全く同じ状態なので再度告発しよう。

 東京のど真ん中、新宿区の北側に東京都が経営する中央卸売市場がある。東京都民の野菜・果物の集荷場である。このデッカイ倉庫というのか工場というのか知らないが、ここに毎日10トントラックが100台か1,000台か全国から集まってくる。そして、旬の野菜・果物をおろして行くのである。野菜・果物が箱から出して並べてあるが、その天井がアスベストの吹き付けの剥き出しである。

 10年前、この卸売市場の従業員が、アスベストの危険性を私に内部告発したのである。確かに彼の説明通り一部が剥げ落ちたり、トラックが柱にぶつかったりしてこすれたりしていた。太陽の光線等が当たると、ただの埃かゴミか知らぬがキラキラ光って恐くなった思い出がある。そんな中に野菜や果物が並んでいるのである。

 私は東京都の職員である市場長を訪ねた。詳しい話はもう忘れたが、安全に問題がないこと、国の基準に基づいて工事してあるので違法性はないこと、今のところは改修の案は出ていないこと等の返答だったような記憶がある。

 事務所から新宿へ向かう際、殆ど毎日のように通るコースなので時々思い出したように外から覗くことがあるが、10年前と全く「見た目」は変わっていないので、天井や柱の吹き付けアスベストはそのままという事だろう。

 今のところ中央卸売市場の生鮮野菜を食べてアスベストが原因の病気になったという話は出ていないから安全なんだろうけど、ヨーロッパを中心にアスベストに関する危険度が認識されるようになった今日、都民の台所を預かる中央卸売市場の壁と天井に、あの綿みたいな物を直接鉄筋に吹き付けてあって、それがボロボロ落ちてくる光景はやはり恐怖である。

 百聞は一見にしかず。読者諸兄には是非一度、小滝橋通り沿い北新宿にある中央卸売市場の現場視察をお勧めする。

 
▼先月、山寺の和尚さんの所で生まれた野良猫の5匹の子供のうちの1匹が、交通事故にあったのか他の親猫に襲われたのかわからないが、後足1本を骨折したというので直ぐ動物病院に入院させたのだそうだ。

 その時先生に「たぶん元に戻るのは難しいでしょうから、部屋猫として飼って下さい」と言われ、後足を車椅子に乗せた姿の子猫を想像しながら1匹だけ家の中に入れる理不尽さ、しかしそうしてあげなきゃ生きていけないかもしれない現実。しかし受け入れることによって自分達の生活までもが変わってしまうかもしれない現実に、悩む心優しい和尚さんの寺族。

 私に子猫の将来を相談されたので、「傷を負ったこともその子の運命、手当て後、例え薄命になっても野良猫家族と一緒に外で暮らすことが幸せなのか、延命のため、手厚く保護されながらも家族と隔離されて家の中で暮らすことが幸せなのか。何れにしても直接触れ合ってる者が判断しないと、良い事も悪い事も全部自分達に被る事だから」と返事しておいたら、病院へ迎えに行った日、3週間の入院を経て帰ってきた子猫は、他の猫より一回り小さく、直前まで迷っていた寺族は再会した瞬間、部屋猫として飼う事を決心して帰ってきたそうだ。

 お寺に着いて車を停めたら、猫たちが寄って来たので、親猫や兄弟猫達に面会させて一緒にミルクを飲ませようと、そっと地面に降ろしてあげた途端、兄弟猫達とじゃれ合いながら庭の植え込みの中に入って行って、どれほど待っても母親の身体からくっついて離れなかったそうだ。院長先生から「外で生活することは難しいでしょうから、部屋で飼ってあげて下さい」と言われ約束して帰ってきたものの、その子猫はみんなより小さく、片方の足が曲がったままの状態ではあるが、明るく元気な毎日を野良猫家族と一緒に過ごしているそうである。

 どんなに貧乏でも、どんなに障害があっても、家族は本来、親子兄弟一緒に暮らすことが幸せの原点である、という事を野良猫一家に教えられた今日この頃である。

 ちなみに子猫が入院していた獣医さん、「ただ預かっていただけだから」と料金を一切取らなかったそうだ。医は仁術。この世知辛い世の中にこんな奇特なお医者さんもいるのである。恐らく和尚さん一家の暖かい愛情とほのぼのとした気持が伝わったのだろう。愛は子猫を救う。

 
▼鹿砦社代表の松岡利康という男が名誉毀損で逮捕された。ふりがなを振ってなければ未だにこの会社の漢字が読めない。

 「紙の爆弾」という月刊誌を出しているが、内容が強烈で鋭いところまで突っ込んでいる。表現もきついし実名も出す。という手法は本紙と似ているし、書き過ぎれば名誉毀損で逮捕されても、別段おかしくもない。と思っていたら、「出版社社長が名誉毀損で逮捕されるのは前代未聞」とか「名誉毀損で逮捕は30年ぶり」とか大騒ぎしているけど、俺は名誉毀損で2回も逮捕されたけど誰も騒がなかった。

 俺も同じ新聞社の代表だから少しぐらい騒がれてもいいのに、と思っているのは俺一人で、世間の評価は暴力団に近い系右翼ゴロ新聞の代表ってか。まぁ世間の評価って物は自分が決める物じゃないからしょうがないね。それでもうちの新聞を楽しみにしてくれる人や新橋での「天下御免・世直し時事放談」街宣を聴きに来てくれる、おじいちゃんおばあちゃんファンもいるからね。日本の歴史を刻んだ年配者の方々を大事にしなきゃ世は末だよ。

 松岡という男は若い頃赤軍派(俺は細かく分類を知らないので、左翼学生はみな赤軍派と呼ぶ)だったらしいので、左翼系出版人達が「言論弾圧」を叫ぶのだろう。俺の時にも叫んでくれよ、と言いたいが左翼とは主義主張が違うし、右翼の場合スネに傷持つ者が多い故、声を挙げる事自体ヤブヘビになり兼ねない、という事情がある。それ以前に真っ当な新聞社と見られてない事情がある(社員には腕のいいのがいるんだけどねー)。

 左翼と右翼は若い頃は敵対するが、歳を取ると結構付き合ってる人は多い。主義主張は違うが「身体を賭けて生きてきた」という部分で気が合うことも多く、大抵の場合、仲介者は大物暴力団組長というのが多い。お互い毒にも薬にもなるからである。

 しかし名誉毀損記事という点で言うなら創価学会の聖教新聞程ひどい新聞はないだろう。脱会者や反創価学会人に対する誹謗中傷の徹底さは半端じゃない。鹿砦社のおよそ三百倍ぐらい凄い。よくあれで逮捕されないな、と不思議でしょうがない。世界七不思議の一つと言って良かろう。

 組織、金、政治力のたまものだろうが、創価学会の場合、相手が訴えても当局は二の足、三の足を踏むのである。創価学会に叩き捲られている元顧問弁護士、山崎正友氏に会った事があるが、常に学会員に尾行され、イヤがらせを受けてるからと言ってカツラを被って大変装した出で立ちで現れたので、つい吹き出してしまった記憶があるが、本人は大真面目だった。

 名誉毀損も争点をどこに置くかで非常に難しい。一般の人は全体の中で80%が事実であれば概ね本当だと思うだろう。しかし相手は20%の間違いやミスを争点に訴えてくる。そうなると80%の全体的な真実や流れは全く関係なく、訴えられた部分の100%が負けることになる。大抵の場合は。あ〜あ、クワバラクワバラ。

 
▼昨日まで激しく鳴いていた蝉が庭先のあっちこっちで力尽きて死んでいる。元より地上に出てきた時から1週間の寿命しかないそうだから人間から見たら僅かな命となる。それでも一生懸命生きて次の代へバトンタッチする。

 人間は蝉ほど一生懸命生きているのだろうか。殆どの人間が生活に追われ、悩み、人間関係に疲れ、ヨレヨレと生きている。時々、現実逃避することで心を癒され、明日への糧とするのである。

 調子が良くなると驕り高ぶり、親の意見も聞こうとしない。初心も忘れてしまう。そしていずれ奈落の底へ落ちる。落ちて始めて目を覚ます。また一から出直す。いや、もう出直せない人もいる。人は80年間こういうことを繰り返しながら生きている。自然は雄大で穢れがない。100万年も生きている。そんな人間の一生も雄大な自然から見たら哀れに映る蝉の一生に見えるのだろうか。

 
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