この写真のタイトルは、「長幼の序」である。

 長い間犬猿の仲であった五味武先生と中島繁治先生が9月2日、某所で劇的な握手をされた。あれほど難解に複雑に入り組んだ感情を解きほぐしたのは天に近い一喝であった。考えてみればお互いの言い分は尤もであり信念に近いものがあっただけに、通常の仲介人では2人を納得させられなかったのである。

 それもそうだろう。五味氏といえば、今でこそボランティアに生命を賭けた好々爺というイメージが強いが、昔は泣く子も黙ると言われた当時最強の笹川良一氏を糾弾して一歩も引かなかった武勲を始め、数多くの逸話を残した最も実績のある新聞人である。

 他方、中島氏も業界の中核をなす日本地方新聞協会の会長という要職にあり、独特の執筆スタイルには人気がある。また日大の評議員も務め先物業界に強い。

 こんな2人が争うのだから、ひとかどの人が声を掛けたぐらいで収まる訳がない。天の声は「力を持った者同氏が争いあって落ちて共倒れになるのが忍びない。そのエネルギーを大同団結して国の為に使うべきじゃないか」という一喝だった。幸い2人は日大の先輩後輩でもある。善悪はともかく日本人の礼儀を重んじ長幼の序として後輩が頭を下げ先輩が手を差し伸べるという形で一件落着を見たのである。

 この劇的な仲介の労を取った天の声は私にも届き、「見届け人」として参席する機会を得たのである。これだけの大物の二人を説得するのであるから天の声者は人生の深い味わいを持つ方々ではなかろうか。この場を借りて深く感謝申し上げる次第である。

 
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