標的は少女

 主要都市に次々と分院を開院し、あっという間に業界最大手に昇り詰めた『神奈川美容外科クリニック』(医療法人社団博美会=山子大助理事長)
 売れ筋の女性誌には必ずといって、綺麗ごとを並べた神奈クリの広告が華々しく掲載されているが、それが全てまやかしだった事が証明された。
 女子高生(未成年児童)を喰い物にするその極悪非道な経営実態の詳細は、これ迄当紙で散々報じて来たが、それを裏づける証拠が遂に揃ったのだ。

 そもそも神奈クリが女子高生を営業の標的に据える理由は、競合する相手が存在しない事からだ。
 他の美容整形院からしてみれば、未成年を患者にした場合、親権者同意の取付けなどの手間暇に加え、殆どが10万円程度の安価な手術という理由、そして何より成長過程の16、17の少女には、美容整形は必要ないと考える医師が大半だからだ。
 この結果、医師の常識を外した利益至上主義の山子大助率いる神奈クリが、未成年の美容整形市場を独占することになったのだ。
 神奈クリが少女達に美容整形を施すにあたり、同院にとって一番の難問が手術代の受領方法だ。
 一般的に現金払いでなければローン契約という事になるが、その為に同院もオリエントコーポレーションやアプラスといった金融会社と提携している。
 しかし、少女達のローン契約はこの金融会社には持ち込まれないのである。
 未成年者で、しかも親権者保護下の児童がローンを組む場合は、親権者の同意なくして契約を結ぶことは出来ない。
 真っ当な金融会社であれば、いの一番に連帯保証人となる親権者の同意確認を確実に行なうわけで、そうなると少女達が隠していた(神奈クリも同様)手術申し込みがバレてしまうからである。

 そこで神奈クリがとる方法が「両親には絶対バレない」と、少女達に説明する医療クレジットと称した院内割賦契約である。
美容外科業界では、この院内割賦契約の方式をとるところは多い。
 その理由は、整形手術代金のローン契約を結ぶにあたって、病院の提携先とはいえ第三者の金融会社に美容整形の事実を知られたくないといった、患者の心情を汲んでのことからだ。
 患者にしてみればローンの契約先が手術を受ける病院であれば、間違いなくプライバシーが保護されると安心できるからである。
 こういった多くの患者の要望に応えるために、大半の病院は貸金業の登録をしたうえで、施した手術を医療サービスの貸付けに置き換え、ローン業務にあたるのだ。
 よって神奈クリが他の金融会社を通さずに、少女達と医療クレジットを結んだということは、同院が貸金業登録をしているという事になる。

 
 親の同意は不必要?
神奈川クリニック・オークス共に「これは契約書だ」と言って譲らない『割賦支払申込書』のコピー。しかし、親権者の署名・捺印はどこにも無い。『実家』という欄の父親の氏名は、神奈クリ社員の眼前で少女が記載したもの。これのいったい何処が『同意』なのか?

 そこで当紙は本年1月18日に「神奈クリの医療クレジットは、親権者の同意無しで未成年者と契約している」と、東京都産業労働局商工部に同院の調査を要請したところ、直ぐさま判明したのが“都知事への貸金業の登録が為されていなかった”という呆れた新事実だった。
 更に、都職員が「未登録での業務は違法だ」と続けると、神奈クリ信販部担当は返答に窮した模様で「顧問弁護士と相談した上で今月中にお答えします」と言ったきり、産業労働局には月が変わった今現在も連絡を寄せていない(都庁も嘗められたものだ)。

 神奈クリの対応というのは一事が万事これなのだ。去年の7月、当紙が同院宛に抗議文を送付した際は、「未成年者向けのローン債券の締結には何ら問題は無い」と弁護士が反論してきたが、その後追及を強めると貝のように口を閉ざしてしまうのだ。
 結局は、自分らの悪事を承知しているが故に突っ張り切れないのである。
 だが、神奈クリにいつ迄も惚けさせておく訳にはいかない。同院の悪事を暴くのに打って付けの証拠(掲載資料)を入手したのだ。

 この資料は、神奈クリ銀座院で前記の経緯で手術を受けた少女の父親が、支払い完了を理由に契約書の返還要求をしたところ、債券譲渡先のオークス(江東区亀戸1-39-5)から送られてきたものだ。
 この父親は『契約書の原本』を請求したにも拘わらず、送られてきたのが『割賦支払申込書のコピー』だったこともあり、オークスに説明を求めた。
 そしてその答えが「申込書としてあるが割賦契約書に間違いない。指摘されてみれば記入に多少不備が見られるが、当社が神奈クリから買受けした債券は数千人分もあるので、紛れてしまったら個々の確認は難しい。えっ、神奈クリが貸金業未登録?馬鹿なこと言わないでヨ」とのことだったが、事実を知ったときのオークスの対応が見物ではある(実は全てを知った上で取引きした可能性も…)。

 しかし、神奈クリは当然とはいえ、関東財務局長の登録番号を有する老舗貸金業者のオークスまでもが、揃って正規契約書と断言するこの『割賦支払申込書』だが、素人目にもその不備は明らかである。
 取り敢えずは割賦払約款の記述や、分割手数料(金利)と支払い方法の説明はされている。だが、このエセ契約書に記入しているのは全て申し込み者の少女であり、本来未成年者用の契約書であれば、肝心要の親権者の捺印や同意署名の記入欄が無いのはおかしい。
もっと言えば、これが契約書というのであれば、この場合の債権者である神奈クリの所在を記す社印及び代表者印等も必要なのではないか。
 これで契約が正規に成立するのであれば、親の与り知らないところで、子供たちは幾らでも借金が出来ることになる。
 山子大助が組織的に少女を喰い物にして銭儲けに走った罪は重いし、貸金業法違反に抵触することが判明すれば、本人の逮捕も有り得る。
 ところで、当紙以外にも山子大助の首を狙っている輩がいるとの話だが、それってやっぱり税務署?
〔つづく〕

 
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