瀬在元総長も認めた日大と暴力団の関係
当局への追い風となるか!?
 “創価学会御用達記者”坂口義弘氏から著書が送られてきた。何度か会ったことはあるので知ってはいるが、日頃付き合いがある程でもないので贈呈の意味はよくわからない。「色んな圧力があったが、俺は負けなかったよ」という気持ちの表われだろうか。

 当紙もこの件ではずっと取材を続けてきたが、良くやった、というのが実感である。色んな闇勢力が入り乱れて圧力の連続であったと聞いていたし、一度出版した本も大学側が買取ってしまったとさえ言われていた。しかも関係者は億の金を手にし、その金の一部が「当紙社主にも入った」と当たり前のように語られているのである。ぜひとも真相が暴かれることを期待する。

 「暗黒の日大王国」が出版される直前に国会タイムズが目次宣伝をした事があった。筆者は、出版妨害が始まったのはあの頃かと思っていたが、実際はそれよりもっと前で、かつ相当な圧力があったようだ。国会タイムズの記事は、当時中島氏と五味氏が対立していたので、瀬在日大を応援している中島氏に対抗するため、単に坂口氏を五味氏が応援しているだけの宣伝記事とばかり思っていた。

 出版妨害を受けた旧版の「暗黒の日大王国」の記事は単に過去の寄せ集めの、関係者なら誰もが知っている話が多く、目新しい物は特になかったのに、新装版のプロローグは真に興味のある話である。この新装版「暗黒の日大王国」の記事が真実なら間違いなく逮捕者が出るだろう。それも脅迫とか出版妨害というレベルのものではなく、殺人教唆誘拐罪まで発展しそうである。

 裁判官の前で、瀬在総長(=当時)自身が日大と暴力団の関係を認めたシーンや、松尾翼という弁護士が裁判官を無視して勝手な言動を繰り返した挙句「これは恐喝です。日大側は同書関係者から3億円払えば出版を差し止める、と脅かされた」と発言。他の5人の弁護士も同意したらしい。ところが、広域暴力団のトップのA氏が坂口氏に出版停止に対して提示してきた額は、3億円の10分の1の3,000万円だったと書いてある。

 坂口氏自身は「ここでは広域暴力団トップのA氏からの提示額は言わないことにする」と言いながら裁判官の前で担当編集長の言葉として3,000万円、とハッキリ記述している。広域暴力団のトップと言えば日本に何人もいない。しかし、そんな大物が直接坂口氏の代理人に話をしたかどうかは疑問だが。

 日大側の依頼した暴力団トップA氏が、坂口氏の代理人に提示した額は3,000万円だった(とんでもない低額を提示され「ケタが一つ違うでしょ」と答えたというから300万円の可能性もある)。しかし、A氏が日大側と取り決めた数字は3億円だった。つまり暴力団A氏は、出版妨害対策料として3億円を日大に要求したということである。この本には書いてないが、この話を補強する話を誰かに聞いたことがあった。

 それは、色んな策を弄したにも拘らず旧版が出版されると聞いた時、瀬在総長(当時)が「3億円も払ったのにどうなってるんだ」と怒鳴った、という話である。当時は信憑性が今イチだったが、現在この部分と読み合わせると、俄然、信憑性を帯びてくる。

 3億円も出費しながら出版妨害に失敗した日大側は着々と進行していく出版準備に焦りだし、なりふり構わずA氏以外の色んな暴力団を使い出す。ここで坂口氏自身も書いているが「500万円を無理やり押し付けられ『本を出版しない』旨の一筆を書かされた」という一文があり、日大関係者の間で出回っている、と筆者も聴いたことがある。

 一筆を坂口氏から取った者に対しても、それなりの大金が報酬として支払われた、というのは当然のことだろう。この一筆を取った暴力団関係者は、暴力団A氏とは明らかにラインの違う人物と思われる。要するにA氏を通じたラインの傘下ではなく、日大が別途に依頼したラインである。

 
 「殺そうか」−密室会議で飛び出した発言

 この本の中で坂口氏は、受け取った500万円をその日のうちに内部通報者(500万円を持参した者)に返した、という。そうであれば、この作戦も日大側は失敗したことになる。

 しかしこの新装版が出るまで、日大側は坂口氏の一筆が「有効」と考えていた節があり、この金が日大側の意を汲んだ支払い者(日大から頼まれた者)の誰かに返っていたのを知らなかったのではないか。坂口氏から日大側の間に何人の者が介在したのか分からないが、その途中の誰かの所で金だけが止まっているのだろう。

 本来なら、金を返した以上、坂口氏が「今後、日大に関する記事は書かない」旨記した一筆が、坂口氏の所に戻ってこなければならないのだ。坂口氏自身がハッキリと新装版の中で脅迫されて書かされた一筆と告白しているわけだから、関係者は間違いなく逮捕される筈だ。これから先は当局の介入がなければ真実はわからない。

 それと圧巻なのはニューオータニで行われた6人の弁護士と6人の日大関係者の善後策の協議で、ここに暴力団関係者も同席していて「坂口を殺してしまおうか」「支援者も一緒に殺したほうがいい」などという物騒な話題も飛び交った、とハッキリ書いてある。

 この本は今、全国の書店で売られている。ここまで書かれて6人の弁護士が坂口氏を名誉毀損で訴えなかったら、この6人の弁護士は資格を剥奪されて当然である。この本に出ている総勢7人の日大側弁護士は明らかに弁護士としての常識を超えている。これが事実なら、これらの弁護士は徹底的に糾弾されるべきである。

 日大の顧問弁護士の篠崎芳明氏は瀬在体制時の9年間の就任期間中に得た報酬額が13億円だった、という関係者からの話もある。真偽の程はわからない。しかし瀬在体制時の一番の疑惑である主婦の友跡地買収の主役の一人は、篠崎芳明弁護士であるのは間違いない。何故なら当時、「主婦の友」の顧問弁護士も「日大」の顧問弁護士も篠崎弁護士だったのである。

 IBMから購入したスーパーコンピューター事件では、当時副総長だった瀬在幸安氏が、それまで取引のあった日本電気、富士通をバッサリ切って2億円のバックマージンを4人で山分けした、と断定している。

 山分け犯は瀬在、野崎の他、日大理事の高石義一、日大関連企業・平山建設平山善吉とある。もう時効らしいが、この本が10年前に世に出て、これが事実なら総長にはなれなかったろう。逆に事実無根なら、坂口氏を訴えるべきである。

 この本の出版は瀬在元総長と野崎元常務に銃弾が送られた事件を捜査している警視庁に、とてつもない勇気を与えることだろう。しかも瀬在元総長体制は崩壊し、捜査がしやすくなっている。

 ただ警視庁内部でも課によってターゲットが違うという情報もある。例えば、暴力団逮捕に力を入れている課や、執行部やその周辺者、また検察庁はまったく別のルートを狙っている、という噂もある。

 各層各ジャンルに厚い人脈を持っている日大にどこまで攻め込めるかは疑問である。

 そのカギは新体制の協力であろう。

 過去の全ての悪事を暴けば「日本一の私学助成金補助」の全額カットは間違いない。ただでさえ少子化で学生を集めるのが大変な時代、日大崩壊にだってつながりかねない。大所高所から判断し、メスを入れることが出来るかどうか。

 小島新体制、最初からとんでもない荷物を背負わされてしまったものだ。
(つづく)

 
 
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