商業施設で大型犬に噛まれ大怪我 だんまりを決め込む東急グループ

(敬天新聞 令和6年6月号2面)



被害に遭った幼児の写真と親御さんのライン


飼い主の責任

 上の写真は3月3日午後3時55分頃に、休日で多くの人で賑わう南町田グランベリーパーク(東京都町田市鶴間3‐4‐1)という大型商業施設内の店舗前広場で、家族で買い物に訪れていた2歳児が、他の客が連れていた大型犬ダルメシアンに、いきなり顔面を噛みつかれ、30針も縫う大怪我をして、治療後に撮影したものである。

被害に遭われた子供の親御さんの話によると、犬が噛みついた時、体重14キロあるという子供の身体は宙に浮き、振り回されていたそうである。

飼い主は犬に対して背を向けており、噛みついた犬にリードを引っ張られて、噛んだことに気づいても呆気にとられて何もできずに立ち尽くしていたそうだ。

父親が犬に体当たりして子供を引き離して、助けたそうである。警察が後に防犯カメラで確認しているそうだ。

噛まれた直後は、子供の顔が直視出来ないほど出血が激しかった為、家族はその場で必死に止血などの手当をしていたそうだ。

ところが現場に居合わせた警備員から「この場所は他のお客さんの迷惑になりますので、あっちへ移動してください」と言われ、指示されたのがベンチだったそうである。

その後、騒ぎに気付いて集まった人混みの中から、看護師の方が名乗り出て「毛布は有るか、救護室は有るか、ガーゼは有るか」と呼びかけたので、それで初めて警備員が動いたそうである。

常識的に考えて、目の前で小さな子供が大型犬に襲われて顔面から流血していたら、傷の手当てを最優先に考えるだろう。それは、我が子でなく他人であっても当然ではないか?

先ず「迷惑になるから、あっちに移動して」という考えには至らないだろう。

例え車の通りが激しい危険が伴う交差点内での事故であっても、怪我の状況を見極めて、身体を移動するには適切な判断を要する。

そもそも多くの人が行き交う大型商業施設では、店舗に隣接する広場に犬を帯同する人たちは、小型犬種を連れているのが一般常識ではないか。

幾らしつけができている犬であっても、他の犬や子供達が、はしゃいで遊んでいるのを見れば、興奮して判断能力を失うのは当然である。そのことを常日頃から注意するのは、飼い主の責任だということは言うまでも無い。

過去には、長崎県で大型犬グレートピレネーズが飼い主と散歩中、女性に噛みついて重傷を負わせる事件が発生し、飼い主は首ひもを持っていたが、注意義務を怠ったとして、業務上過失傷害容疑で逮捕されている。兵庫県ではカフェで大型犬ゴールデンレトリバーが客の女性らに噛みついて怪我をさせ、業務上過失傷害と動物愛護法違反の疑いで、カフェを経営する夫婦を逮捕している。

だがこれらの事件は、屋外での散歩中や飼い主の店舗内での事件である。

今回の件は、飼い主に責任があるのは間違いないがペットの入店を認めている施設内での出来事だ。万が一のことを考慮するのは、管理運営会社の責務ではないだろうか。



施設側の責務

 ペットブームで犬を飼う人が増え、我が子のように犬を飼う夫婦もいれば、家族同然に部屋で生活を共にする家庭も増えてきた。

昨今は、集客を望んで「ワンちゃんОK」を売りにする商業施設や観光施設も増えている。一緒に泊まれる温泉旅館まであるから驚きだ。

それでも体重5キロ以下など、しっかりとした制約があり、他の客とのトラブル回避に務めている。

筆者も愛犬家であるからペットの入店を認めていることを否定するつもりは全くない。しかし、世の中の大半が「犬は単なる動物」という認識である。普段は動物が好きな人であっても店舗内や飲食店では許しがたいと考える人は多い。

また動物が嫌いな人やアレルギー体質の人もいるのである。そういうことも十分に配慮しなければならないのである。勿論、社会や人間の為に働くように訓練されている警察犬や盲導犬、聴導犬、セラピー犬といった「使役犬」はペットではないから論外である。

だからペットの入店を許可している施設側は、しっかりとルールを定めると同時に、ペット連れではない客に理解を求めると同時に迷惑を掛けないように、飼い主と同様の責務を負う責任があるのではないか。



施設内に注意書きはあるようだが・・・


自己責任は無責任

 今回の子供が噛まれた施設には、利用に関して「ペットをお連れのお客様へ」という注意書きはあるようだ。

だがその最後には「ペットに関するお客様同士のトラブルについては、当施設は責任を負いかねますので、ご了承下さい」と書いてある。

しかし「ペット」の明記が曖昧で、どんな「ペット」でも許されるのか? 大きな口で鋭い犬歯を持つ大型犬でも許されるのか?

小型犬の入店を許可している施設は多いが、大型犬まで許可するなら、犬に口輪をするなどのルールは必要ではないのか? そもそも小型犬しか入れないような店舗が立ち並び、人が多く集まる商業施設に大型犬は連れて行かないし、その様な場所で大型犬を見かけたら、施設側も注意を払うべきだろう。それこそ警備員の役目ではないのか?

警備員は、なんの指導も受けていなかったのか? と考えれば考えるほど疑念は深まるばかりだ。

他の客が連れた大型犬にいきなり子供が?み殺されそうになった恐怖は今も癒えず、顔と心に一生の傷を負ったであろう罪なき我が子の姿に、親御さんは悲痛な声をあげている。

更に心を傷つけたのは、現場に居合わせた警備員の言動である。流血した子供の手当ては二の次なのか? 他の客に迷惑? 邪魔だからと移動を促すとはどういうことか? 真意を聞きたいものである。

そこで弊紙は、現場と成った大型商業施設の管理運営に携わっている(株)東急モールズデベロップメント(佐々木桃子社長)、東急プロパティマネジメント(株)(木原恒雄社長)、親会社の東急(株)(堀江正博社長)の3社宛てに、書面にて取材を申し入れたが、期限までに回答は得られなかった。天下の東急グループが、見解を示さないというのは如何なものか。残念である。

余談だが元動物園飼育係の話によれば、「はしゃぐ子供達の姿を見て、普段おとなしい動物でも、興奮して制御が利かなくなることがあるので、管理者は細心の注意が必要です」という見識を示している。動物のプロと言われる飼育員や調教師でも、不意に襲われ命を落とすこともあるという。

だからといって家族連れで賑わう大型商業施設で、「ペット連れの客だけ入店OK」という営業方針に変える事も出来ないのだから、全てのお客様に安全安心な施設の環境づくりに務めていただきたいものだ。

その為にもペットの入店を認めておきながら「事件事故は自己責任」というだけでは、集客一点張りで余りにも無責任ではないか。


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