(敬天新聞 令和7年6月号2面)
安価で若者にも人気がある通称トリキ=鳥貴族の店舗
企業のモラル崩壊 |
全国展開する焼き鳥の居酒屋チェーン(株)鳥貴族(江野澤暢男社長・大阪市中央区)と、鶏肉等の食材を供給する(株)エビス商事(桑畑貴社長・宮崎県都城市)に関し、両社の不透明な取引と、それを取り巻く親族間の深刻な内紛を告発する複数の投書が、弊紙に寄せられている。
これまで何度も記事にして追及してきたが、新たな情報提供があったので改めて問題を整理する。
エビス商事は、創業者の桑畑隆信氏とその妻が半世紀以上にわたり築き上げた地域密着型の優良養鶏企業で、長年にわたり宮崎県の雇用と食文化を支えてきた。だが、かつては社員想いで誠実な経営を貫いていた同社に、今では「企業モラル崩壊」とも言える事態が起きている。
問題の発端は、創業者の隆信氏が大病を患い、長男・貴氏が後継者として社長に就任したことに始まる。以降、貴社長の経営姿勢に対して社の内外から疑義が噴出し、従業員へのパワハラや高級外車の購入、会社資金の私的流用、独断的な価格決定などが横行しているという情報が弊紙に届いている。
また5月に届いた新たな資料の中には、エビス商事の監査役や販売部長、鳥貴族の調達責任者の名前が記され、具体的な内容が含まれている。鳥貴族の仕入れ担当者と癒着関係にあり、「女性をあてがう接待」「価格情報のリーク」「バックマージンの授受」といった、不正な取引工作が行われているという内容を含む。
エビス商事の誠心誠意とは、誰のため? 何のため?
親族間の骨肉劇 |
これまで弊紙に届いた資料の中には、創業者・桑畑隆信氏による直筆の手紙が同封されていたこともあった。手紙には、長男に社長職を譲ったことへの後悔と苦悩、そして彼を再び信じたいという複雑な親心が綴られていた。
「幼い頃、寂しい思いをさせた。貴に会社を継がせて兄弟三人仲良く会社を発展させてほしかった。贅沢もせず口数も少なかったお前がこれだけの嘘をつき会社を一人取りするとは、お前の新しい家族がここ迄お前をクズにしたのか」
この言葉からは、経営者としてだけでなく、父として息子への切なる想いがにじみ出ていた。
また手紙の内容を深く読み解くと、現社長・貴氏の背後には、創業者の前妻とその親族の支援があり、対立構図は【創業者・後妻・次男】VS【先妻・長男・親族】という形で深刻化しているようだ。こうした複雑な家族内の亀裂が、企業統治や倫理にも影を落としている。
一方、上場企業である鳥貴族の責任も重大だ。不正な取引慣行が事実であれば、同社のコンプライアンス体制にも重大な疑義が生じる。鳥貴族とエビス商事は、弊紙が取材のため送付した質問状に対しては、期限までに回答はなかった。
いま求められているのは、事実の徹底的な解明と、関係各所の早急な是正である。創業者の隆信氏、そして告発を行った元社員たちが願う「真っ当なエビス商事」に立ち返ることこそが、この泥沼の骨肉劇を終わらせる唯一の道ではないだろうか。
果たして、再び皆が「恵比寿顔」で笑える日は訪れるのだろうか――。
シンボルマークは恵比須様 エビス商事 桑畑貴社長
5月に届いた新たな投書 (クリック)