英霊をエンタメ化するフジテレビ 「世界の何だコレ!?ミステリーSP」に質問状

(敬天新聞 令和7年6月号3面)


問題の番組は4月23日(水)に放送された

戦死者をネタに

 弊紙は、4月23日にフジテレビで放送された「世界の何だコレ!?ミステリーSP」に対し、重大な懸念を呈する公開質問状を(株)フジテレビジョン清水賢治社長宛に出した。

問題視したのは、同番組内で放送された「特攻隊員の前世の記憶を語る少年」のエピソードだ。番組では、少年が「第二次世界大戦中の沖縄戦で戦死した」と語り、その証言をもとに前世の人物を穴澤利夫大尉と特定し、さらに「世界一美しいラブレター」と称される遺書まで紹介した。

弊紙は「少年の証言の真偽は確認困難でありながら、番組は再現VТRやナレーションを通じて、それをあたかも事実であるかのように構成しており、視聴者に誤解を与える」と指摘したのである。

さらに、顔を明かされた未成年のプライバシー保護や、番組制作の倫理性を問い質したのである。

 質問状では以下の三点について回答を求めた。

第一に、史実との整合性と検証について。再現映像などを交えて構成された番組が、事実のように描かれた演出で、真偽の検証や視聴者への説明は果たしているのか?

第二に、未成年者のプライバシー保護について。記憶を語った少年の顔が番組中で隠されることなく放送された点について、例え同意を得ていたとしても配慮が不十分ではなかったか?

第三に、企業としての倫理と説明責任について。現在フジテレビは中居正広氏らによる一連の問題により、スポンサー撤退問題を抱えている。その最中に国民の戦争観、歴史観に深く関わるテーマであるにもかかわらず、視聴者に混乱や誤認を与えるような放送をした意図は何だったのか。視聴者の信頼を得るための情報精査やガバナンスは機能していたのか? 経営・編成責任者による事前チェックはあったのか?

 以上、質問への回答を求めたが、期限までに回答は無かった。フジテレビはこれをミステリーやエンターテインメントだからと言って済ませようというのなら、楽しければ何でも良しとする旧態依然の体質を改める気が無いのだろう。




前世の記憶を語る少年の顔は丸出しで放送された 少年の記憶について語る母親


行政指導の最中

 尤も村上誠一郎総務大臣が5月9日の記者会見で、フジテレビ及び親会社の社長が4月30日に総務省を訪れ、一連の問題に関する再発防止策を報告した際、新たな行政指導を発出したことを明らかにした。

その際、村上大臣は「企業体質そのものが問われており、信頼回復には時間がかかる」と指摘し、改めてフジテレビに対し、視聴者・スポンサーの反応を分析し、信頼回復に必要な対応を行うことや、取材先・取引先との悪しき慣習を一掃するよう対応を求め、7月予定の結果報告を5月中に前倒しするよう求める異例の指導を行ったのである。

その後、親会社フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は、6月の株主総会をもって退任すると発表した。あわただしく経営陣が入れ替わる中、役員候補から外れたSBIの北尾吉孝会長との対立も激化し、更には中居氏がフジ第三者員会の結果に反撃を開始した。もはや番組内容に目を向ける余裕など無いのだろうか? フジテレビの報道機関としての姿勢が、改めて問われる重大な局面を迎えていることは、今さら言うまでもないだろう。

だが番組製作者に弊紙が何より伝えたかったのは「戦後80年の節目の年に、戦争の記憶や英霊に対し、視聴率目的で軽々しく踏み込むことが果たして許されるのか?」という根本的な問いかけである。


公共の電波を預かるフジTVが、実在した特攻隊員をエンタメのネタに!



弊紙の質問状(クリック)




※弊紙タブロイド判の記事で、村上誠一郎総務大臣の名前に誤りがありました。お詫び申し上げます。

敬天ブログ敬天新聞社ホームページ敬天千里眼不正疑惑(評判・噂)告発