(敬天新聞 令和7年12月号 4面)

▼何処かの宗教に「たとえ強姦されても、これも授かった命だから、赤ちゃんは産みなさい」と教える話がある。若い頃はそれがどうしても理解できなかった。
知らない男に無理やり強姦された男の精子を受け入れ、その子に愛が持てるだろうか、と思えたのである。強姦した男を憎む分、その生まれて来た子に憎しみさえ持つのではないだろうかと考えていたのである。そう考える若い人は少なくないと思う。
これが中年になり、老年になって来ると、考え方は徐々に変わって来るのではないかと、最近考えるようになった。
中にはどんなに愛し合っていても子供が出来ない人もいる。人に好き嫌いで子供を産むことを決めさせたら、地球上から人が居なくなるかもしれない。どんな考えや行動にも、一つの理があることを、この歳になって初めて知った次第である。
せめてあと20年位早く、このぐらいの理屈を知っていれば、もっと豊かな人生が送れたかも知れなかったのにと悔やんでいる人も多いんだろうな〜。
子供に対する愛情と言うのは、男性よりも女性の方が断然強そうである。男は暴力的に威張ってはいるが、一滴の精子を受け入れてから、自分のお腹を10か月間犠牲にして、人間として育て上げてから、世の中に送り出すわけだし、そこからまた3年間ぐらいは、母の愛が無ければ子供は育たないのである。
最近は父親も産休を取って、子育てに協力したりするらしいのだが、それはあくまでも子育てに協力する、参加するという程度で、最近流行ってきた文化に過ぎないのである。それでも妻の立場からすれば、非常に有難い夫の所作らしいのだ。
人生が二度も三度も繰り返すことが出来るなら、現世で失敗したことを来世で生かして活動することもできるんだろうけど、色んな事が分かるようになった頃には、体が思うように動かなくなるし、おまけに頭までボケて自分で何をしてるか分からなくなってくるのである。
我々は、人や動物で赤ちゃんから老年までの成長を振り返ったりするが、植物だって若草木とか壮木とか老木とかあるではないか。生まれることで命を持った生物には、必ずいつかは死が訪れるという事である。
老年になってボケたり、アンポンタンに成ったりするのは、死が怖いものではないよという神様からのプレゼントなのかもしれないと、最近は考えたりするのである。

▼老後施設関連の仕事が大流行である。そいう所で働いてる女性は優しい人ばかりだろうと、勝手に思っていたが、汚い老人の面倒を見るのだろうから、ストレスが溜まるようである。
入居者老人に対する苛めも多いようである。若い時は、見た目の綺麗な人に気持ちは揺れるが、歳を取ると優しい人に気持ちは魅かれる。
何回教えても、何回注意しても、理解できないボケた老人に腹が立つのは理解できる。優しい気持ちが強くて、老人施設に務めてる人も居るには居るだろうが、きつい、汚い、苦労が多いという新3Kに楽しみながら働いている人は少ないだろう。
働き手が少ないから直ぐに勤められるという事で働いている人が殆どだと思う。生活に余裕があれば、誰も働きたくはないだろう。自分のうちの爺さんの世話でさえ、汚くて嫌だと思っているのに、他人の下の世話など誰が好んでするだろうか。これだって国の補助金があるから経営出来るんであって、補助金なしではとてもやれるものではない。
筆者の知人で、身寄りのない老人を助けたいと役所の補助金も受けずに手弁当で老人ホームを初めて、何年も経たずに借金だけが残って倒産した人さえいる。
中には役所の補助金目当てに次から次に老人ホームを開所して、いかにも黒字で回ってるように見せかけて、裏で売り逃げしようと企んでる者も居るそうである。
昔は大家族で生活していたから、老人の世話は嫁さんの係だったようであるが、今の時代、義父や義母の下の世話をしてくれるような優しい嫁さんなんて、地方の小さな町にだっていないのではないか。そんなことを頼んだら、「私はそんなことをするために貴方の嫁になったのではない」と即離婚だろう。家庭の形と言うのが、全く変わってしまったのである。
日本はアジアの国にありながら、明治維新の頃よりヨーロッパの影響を強く受け、大東亜戦争で負けて以来、益々アメリカの影響を強く受けることになり、日本の風習が無くなって来たようである。

▼任意の家宅捜索と言うのがあることを初めて知った。任意の聞き取りと言うのは、何度か受けた事があるので知っていたが、任意の家宅捜索は初めての経験だった。
捜査においては、任意に対しての反対用語と言えば、強制と言う事になろう。通常、逮捕においても、家宅捜索においても、裁判所からの許可礼状を取ってから、それを持参し、目的先の関係者に見せてから目的を遂行するというのが、執行する側の習わしである。礼状を見せられたら、それを拒否すれば、その時点でまた別の罪が一つ追加になる。
訪れた刑事たちも家宅捜索令状を持ってたわけじゃないから、強引に「開けろ」という姿勢ではない。リーダーの警察官も任意での家宅捜索であることを丁寧に説明をしてくれたので、理解した上で、「任意であるなら、もし私が捜索を拒否したらどうなるんですか?」と尋ねたら、「今から担当が帰って、令状を貰いに行ってくる。その間我々は中に入れないので、令状が届くまでここで待たして貰う」と言うし、疑われてる問題も、直接被害者だと言う人間が自分が所属していた会社が何年にも渡って脱税をしていたと言う話で、本人がチャート図に書き込んでくれた物を筆者に渡したもので、そのチャート図を弊紙に掲載したのだった。その脱税問題で民事でも争っていたのである。
その前後に、弊紙の記事を見たりして、何団体かが本社に街宣を掛けたらしい。それで相手方が地元の警察署に相談に行ったということだった。
困ったのは家宅捜索が入った日に、携帯電話とパソコンを持って行かれたことである。携帯電話は4日間で返してくれたが、パソコンは2週間も返って来なかった。
普段スマホに振り回さてる人間を批判していた筈の筆者であったが、パソコンが無かったら全く文章も書けず、ニュースもテレビからしか知ることも出来ず、如何に自分がパソコン人間になっていたか思い知った次第である。
最初は携帯もパソコンもUSBに必要なデータを移すだけでОKという話で、2時間もあれば大丈夫だろうと言う事だったが、思う様にいかず結局持って行ってしまった。警察のパソコンが最新バージョンではなく、中古品を買って使用しているようなことも言っていた。
日本の首都の犯罪を守っている警察官が時代遅れのパソコンでは犯罪者は取り締まれないだろう。最先端、最新型のパソコンを持たせないと、カンボジア辺りに本拠を置いて特殊詐欺や強盗を働いてる連中を捕まえるのは不可能であろう。頑張れ、日本の警察官。
今年も一年間、ご愛読頂きまして有難うございました。来たる年が皆様にとって、良い年でありますよう、お祈り申し上げます。
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