日本株式市場の資金はどこへ消えた(5)

処分歴のある監査法人の起用!?

(敬天新聞 令和8年5月号3面)


(2面の続き)


監査法人選定の疑義

 2025年9月17日、日本公認会計士協会(JICPA)は、監査法人ハイビスカスに対し、連結除外手続きの不備を理由とする懲戒処分(戒告)を公表した。

またANAPホールディングス(以下ANAP)は、これに先立つ2025年10月21日、前任のアルファ監査法人との契約を終了し、新たに監査法人ハイビスカスを監査人として選任したことを適時開示している。※


※ANAPホールディングス適時開示(2025年10月21日)(画像クリック)


 さらに同年11月24日および25日、東京ステーションホテルで開催されたANAP主催のイベント「BТCJAPAN 2025」において、ハイビスカス監査法人の代表社員である堀俊介氏がスピーカーとして登壇していたことが確認されている。


密接な関係を示す証拠 BTC-JAPAN 2025への登壇


 懲戒処分の公表、監査法人の選任、そして被監査企業主催イベントへの登壇という一連の流れについては、監査人の独立性の観点から疑問を呈する声が市場関係者の間で出ている。

ANAPの適時開示によれば、アルファ監査法人から以下の理由により契約終了の通知を受領したとされている。

「2025年8月期以降、当社が展開する今後の事業展開や事業リスクに見合った対応を適切に実施する必要がある状況において、同監査法人における人的リソースに限りがあり、適切な人員配置を見込んだ監査チームの編成が困難であることから、2026年8月期に係る監査契約を締結しない旨の通知を受領しました」

「特に、ビットコイン事業においては、知見が必要なところで、適正な監査を継続するのは難しいと判断されたのも適正な結果であります」ということだ。

すなわち、アルファ監査法人は、ANAPが進めるビットコイン関連事業について、十分な監査対応が困難であるとして契約を辞退したと整理できる。そしてANAPが、その後任として選任したのが監査法人ハイビスカスである。

この選任判断を巡っては、監査法人ハイビスカス自身が過去に複数回の行政処分および懲戒処分を受けている点が、改めて問題視されている。

同監査法人は、2013年、2023年、2025年の3度にわたり、金融庁または日本公認会計士協会から処分を受けている。

特に2023年の金融庁による行政処分では、監査調書の事後作成や差し込みといった行為が確認され、監査の適正性を著しく損なう重大な問題として処分理由に明記されている。



ハイビスカス監査法人の処分歴一覧



説明と残る矛盾

 ANAPは、ハイビスカス監査法人を選任した理由について、適時開示において次のように説明している。

「当社の現状のグループ体制を踏まえて、今後の事業展開にも理解を頂いていること、グループ経営という新たな視点での監査が期待できることに加えて、同監査法人の独立性、監査体制、専門性、職務遂行能力及び品質管理体制等を総合的に検討した結果、適任であると判断したためであります」としている。

しかしながら、ハイビスカス監査法人は、この説明が公表されるわずか2か月前の2025年9月に、日本公認会計士協会から懲戒処分を受けたばかりである。さらに2023年には金融庁から、監査調書の事後作成・差し込みを理由とする業務改善命令を受けている。

こうした処分歴を有する監査法人について、「独立性」「品質管理体制」を含めて総合的に検討した結果として適任と判断したとする説明については、投資家の視点から、より丁寧な説明を求める声が生じ得る。

金融庁が公表した2023年の処分理由書によれば、ハイビスカス監査法人では以下の行為が確認されている。

「検査実施通知日以降、検査官に品質管理関連資料及び検証対象個別監査業務に係る監査ファイルを提出する日までの間、一部の社員及び職員が、事後的に検査対象資料を作成し、あるいは、事後的に作成した監査調書を監査ファイルに差し込むなどした上で、その旨を秘して検査官に当該検査対象資料を提出した」とのことである。

監査調書は、監査が適切に実施されたことを裏付ける根幹資料である。それを事後的に作成し、監査ファイルに差し込む行為は、監査の信頼性そのものを損なうものだ。金融庁は、前回処分から約10年が経過してもなお運営の不当性が改善されていない点を厳しく指摘している。

そして、ANAPとハイビスカス監査法人の関係が、単なる「監査人と被監査企業」という形式的なものではないことを示す象徴的な出来事が、2025年11月に起きた。2025年11月24日・25日、東京ステーションホテルで開催されたANAP主催の「BТC JAPAN 2025」に、ハイビスカス監査法人の代表社員である堀俊介氏が登壇したのだ。

通常、監査法人と被監査企業の関係は、独立性と中立性が厳格に求められる。監査人が被監査企業の主催イベントに登壇し、ビットコイン事業を推進する立場で発信することは、監査人の独立性を著しく損なう行為である。

特に注目すべきは、この登壇が2025年9月の日本公認会計士協会による懲戒処分のわずか2ヶ月後に行われたという事実だ。通常であれば、懲戒処分を受けた直後の監査法人は、世間の目を気にして被監査企業との距離を保とうとするものだが、ハイビスカス監査法人にはそうした「慎重さ」が見られない。

この事実は、ANAPとハイビスカス監査法人の間に、通常の監査関係を超えた監査人の独立性の観点から、距離感に関する疑問が生じ得る。

最終的に問われるのは、ANAPが、複雑な資金フローやビットコイン関連取引を抱える中で、どのような判断基準に基づき、処分歴を持つ監査法人を選任したのかという点である。

一般的な上場企業であれば、10年の間に複数回の処分を受けた監査法人を起用し続けることは稀であり、その場合には投資家に対する十分な説明が求められる。本件においても、監査体制の妥当性や独立性について、今後、より明確な説明がなされるのかどうかが注目される。 続く。



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