「日本を売り渡す男」が説明しない「資金と人事」(6)

ANAPに何が起きているのか?

(敬天新聞 令和8年7月号3面)

6ヶ月で希薄化

 前号で弊紙は、ANAPホールディングスが発行した第9回MSワラントの潜在希薄化率が114・88%に達する事実を報じた。

発行済株式総数を上回る新株発行が可能となるこの数字は、既存株主の権利が大幅に希薄化する危険性を意味する。しかし問題は、その規模だけではない。ワラントの設計、相次ぐ開示訂正、そして四谷に集結する関係法人群を追うと、ANAPを巡る支配構造の実態がより鮮明に浮かび上がってくる。

以下、その実態を検証する。

2026年3月13日、ANAPは第9回新株予約権(МSワラント)の発行を開示した。割当先はEVOFUNDである。行使可能株数は五千万株。当時の発行済株式総数四千三百五十二万四千株に対し、潜在希薄化率は114・88%に達する。

行使価額は当初230円だが、前日終値の91%に毎日修正される「ムービングストライク条項」が付されており、下限は115円。株価が下がるほど安く転換でき、EVOFUNDは取得した株式を市場で売却して利鞘を確定する。株価下落が利益に直結する構造だ。

行使期間は6カ月。この間に全株行使されれば、既存株主の議決権は現在の半分以下に希薄化する。

つまり、今この会社の株を持っている日本人投資家の権利は、半年後には半分以下の価値になる可能性がある。その希薄化で生じた利益は誰の懐に入るのか。少なくとも、日本の個人投資家ではない。



川合林太郎氏(カスペルスキー日本法人の代表当時)



管理体制の崩壊

 ANAPホールディングスの開示体制は崩壊している。2024年9月から2026年3月までの約18カ月間に、少なくとも8件の訂正・中止・撤回が確認された。

決算短信の数値訂正、内部統制不備に関する訂正、支配株主関連の訂正など内容は多岐にわたるが、共通するのは「出すたびに間違える」という異常な頻度だ。

ANAPは自ら「財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備が存在する」と認めている。にもかかわらず、第三者的調査は未完了のまま有価証券報告書が提出された。内部統制が機能していない上場企業が、投資家の金を預かり続けている。

ANAPの連結業績は赤字が継続している。アパレル事業は縮小の一途であり、本業での利益創出力は失われている。

ANAPが「トレジャリー企業」として喧伝するビットコイン保有は約千五百BТC。しかしBТC価格が下落すれば評価損が直撃し、赤字幅は一気に拡大する。2026年1月14日には暗号資産評価損の計上を開示済みだ。

ビットコインの価格変動に企業の存続が左右される。これは「事業」ではなく「投機」だ。そしてその投機の原資は、日本の株式市場を通じて集められた日本人投資家の金だ。



吉谷寛之氏(カスペルスキー日本法人のIT部長当時)



四谷に集結3法人

 また、調査の結果、四谷エリアに以下の3法人が集中していることが判明した。

(1) 株式会社BH Tokyo(東京都新宿区四谷本塩町2番8号)

  代表取締役・川合林太郎。設立・2024年10月16日。Tokyo Bitcoin Base(TBB)を運営。

  地下1階+地上4階、約千三百平方メートル。Blockstream、Mempool、BTCPay、Fulgur Ventures、PlanB Network、Agile Energy X 、Diamond Handsなど約21社が入居。

  弊紙が前号で報じた通り、2024年12月に四谷本塩町の不動産を無担保で取得。資金源は登記上確認できない。


(2) フルグル合同会社(Fulgur LLC)

  代表・川合林太郎。設立・2021年6月。

  米国Fulgur Ventures(ビットコイン特化 VC)の日本法人。BH Tokyo内に入居。


(3) 合同会社四谷デジタルイノベーターズ(東京都新宿区四谷三栄町1番1号)

  代表・吉谷寛之(カスペルスキー日本法人 情報システム担当者)。

  設立・2025年12月17日。資本金100万円。ANAP株式23・91%を保有。


 以上のように、ANAPホールディングス本社は港区南青山だが、実質的な意思決定と資本の流れを支配するインフラは四谷に集約されている。ANAPホールディングスと四谷に集結する3法人の関係をたどると、その中心には川合林太郎氏の存在がある。

第一に「拠点の集約」という意図。川合林太郎氏は、BH Tokyo(ビットコイン事業の物理拠点)、フルグル(海外VCの資金パイプライン)、四谷デジタルイノベーターズ(株式保有の受け皿)という三つの機能を、すべて四谷の徒歩圏内に配置している。

第一回で報じた赤坂の「同一フロア4社集中」が、ここ四谷で再現されているように見える。

しかし四谷への集中には、単なる業務効率化では説明のつかない側面も存在する。

 次号では、四谷という立地が持つ意味と、そこに関わる人物・企業が日本の経済安全保障に与え得る影響について検証する。



Tokyo Bitcoin Base 新宿区四谷本塩町2−8



新宿区四谷本塩町2−8 フルグル合同会社登記簿より




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