裁判員通知を普通郵便で送る感覚とウィルコの障害者

福祉郵便割引悪用による日本郵政の純損失分への疑問

2008/12/07

 知り合いの従兄弟が裁判員制度に当選したそうだ。裁判員候補者当選を他人にしゃべくるのは禁止らしいから「冗談かも知れない」とつけ加えておく。
 裁判員候補者への通知は先月28日、普通郵便で全国の候補者約29万5000人に送られた。
 ビックリしたのは、他人の死刑判決を決める云々の人選をする裁判員候補者通知に、配達証明やら特別送達ではなく、単なる普通郵便を使っての配達という点だ。

 本紙の元にはほぼ毎日、何かしらの訴状が裁判所から送られてくる。訴状は全て特別送達で、本人か身内の者じゃないと受け取れず、中身は何月何日に東京地裁の○○○号法廷に出廷して下さい、みたいなもの。なので、受け取って知らんぷりするわけにもいかない。
 よって重要書類であるはずの裁判員候補通知も、特別送達か配達証明の形を取るものとばかり思っていた。
 通知の「到達証拠」をもって、無視したら許さんぞ!というような圧力の物なのかと。
 しかし、裁判員通知を送る側=最高裁刑事局は別の考え方だったのか?

 大切な裁判員候補通知をたかが80円の普通郵便で送ってくる根拠には、最近、不祥事続きの日本郵政がことさら強調する「効率化」も絡んでくるのだろうか?
 単なる私見だが、配達証明や特別送達にしちゃうと、受取拒否や不在による郵便物返却で30万人近くへの通知の半分位が受取拒否で戻ってきちゃったらコトであるし。
 しかし、普通郵便だって、この「裁判員候補」の通知は受け取り拒否という形で拒否する人が多いはずで、通知返却でごった返す手間は一緒だろう。

 と思ったら、最高裁刑事局の言い分は、
普通郵便で受取拒否で返却してもダメ。辞退するなら中の調査票に辞退と書かないと『調査票への回答がなく、辞退を希望しない』ものと見なす
 だそうだ・・・・・・ムチャクチャ横暴な話。

 これは必ず将来トラブルになるだろう。受け取るかどうかに選択権も与えないまま一方的にこんな重大な郵便を送りつけてきて、嫌だから送り返しても通用しないよ、という言い分は最高裁だとありなのか?
 そもそも、最高裁刑事局は日本郵政の郵便局職員らによる郵便物の誤配がどれだけ世の中に迷惑をかけているか知っているのだろうか?

 筆者の自宅にも、マンションの隣の空き部屋に入居していた多人数居住の中国人の女の子宛へのグッドウィルからの派遣関係の通知や人材派遣会社からのDMがやたら誤配される。
 裁判員候補通知も普通郵便での配達なら、確実に相当数の誤配があるはずだ。配達証明や特別送達と違って、郵便局員に誤配か誤配じゃないかの認識は絶対ないし確認できないから、誤配されたまま後々トラブルになる可能性は大きい。

 また、先日は大阪梅田で2ヶ月間放置のままの郵便物コンテナが見つかったが、昨日は、埼玉県越谷市の郵便局新越谷支店で、未配達の郵便物の詰まったケースが見つかったそうだ。
 これは11月28日に送るはずだったという、たった8日間だけの比較的ニアミス的なかわいげのあるものだが、郵便局には、未だこの手のケアレスミスが蔓延っている。
 そのミスを避けて裁判員通知をつつがなく候補者に届けるために配達証明なり特別送達なりを使う経費を計上しておくべきで、そこを軽く見るのであれば、元々、不評だった裁判員制度なんて、今からでも止めるべき・撤回するべきだと思うが。

 裁判員通知が日本全国に発送される前日、テレビで「これが裁判員通知です」と封筒らしき現物を見せて、裁判員通知のウンチクを語っていた。配達する郵便局員の子達には、何処の誰にあの茶色の封筒が届いたか(恐らく1エリアに1人いるかいないかの『珍事』だろうし)おぼろげながら確認できるんじゃないか?おしゃべりがいなければいいが……。

 日本郵政グループの08年9月中間連結決算発表では、経常収益9兆4868億円・経常利益は4225億円・純利益は2224億円だったが、郵便事業会社は郵便物の取扱数が減り、189億円の純損失となったそうだ。
 純損失の理由として、郵便物の取り扱い数が減った事、不景気で企業のDMが減った事などを日本郵政はあげている。

 ところで日本郵政の純損失189億円の中に、東証二部上場企業ウィルコの偽装工作による障害者福祉郵便割引によって損失した30数億円は入っているのか?まあ、ウィルコの30数億円の郵便割引は長い期間かかっての総額だから、昨年分だけにかからないが、そのうち数億は去年の損失に含まれているだろう。

 障害者福祉郵便割引制度悪用の不正事実が判明しているのに、ウィルコは日本郵政からも国からも30数億円の返済を迫られない。
 また、ウィルコの親会社株主はウィルコ社長若林和芳の若林一族が経営する「資本金500万円の有限会社」わかさ屋である。
 資本金500万円のわかさ屋だけでウィルコ株式の2割、若林ファミリー個人個人の所有株式持分を入れればどれだけの支配権になるのか知らないが、ウィルコはしょせん若林ファミリーの所有物であり、完璧なパパママ会社に正確な企業コンプライアンスなんて望める筈もない。

 けっきょく自分自身が株主だから、障害者福祉郵便割引制度悪用の不正問題にしても、ウィルコ若林社長としての「認識不足だった」の一言で終了。
 他の主要株主も家族だから責任追及もなく、内部的にも大株主の若林ファミリーにたてつく訳にもいかず障害者福祉を悪用する郵便割引」という悪質な金儲けで浮いた三〇数億円は行方知れず。
 ウィルコのように三〇数億円の不労所得を国に返すでもなく郵便局に返すでもなくフトコロにしまったまま、知らぬ存ぜぬを決め込める東証二部上場企業があっても許されるとは、公正取引委員会も緩いもんだ。
 ウィルコに対し「弁済するか、もしくは東証二部の株式市場から降板せよ」位言ってくれる公的機関はないのか、しかし?三〇数億、もらい得かよ?

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