人材派遣アンツの社会保険(労災雇用保険)未納―脅迫問題

2008/12/31

社会保険料支払い逃れ

 偽装請負の遺法派遣会社であるアンツグループ(正しくはユニティグループかも知れないが)のような人材派遣屋が世間の批判を受けるのは分るが、このところなんでもかんでもかわはらひろし並に派遣会社全て一緒くたに悪と報じるマスコミ姿勢には不快感を感じざるを得ない。

 昨夜ヒルズ近くで、馬鹿が短絡的に「派遣切り、許さん、きっと諸悪は六本木ヒルズ」と乾いた脳みそから知恵を搾り出した挙句の刃物振り回し凶行に打って出て、しかし警官の威嚇射撃に縮み上って逮捕されたらしいが、こんなやつや社保庁OB殺しの犯人まで派遣会社や不景気のせいにしてしまっては、どう考えても的外れだろう。
 ヒルズの刃物バカも秋葉原殺しの加藤も、切られた派遣社員だったらしい。しかし、派遣社員といってもピンキリで、技術職の有能な派遣社員さんは未だに派遣会社&派遣社員さん共々稼いでいる…これは以前から本紙でも主張してきたこと。

 切られて四の五の言っているのは、手に職もなく、技術を習得する為の職場を選ぶでもなく、「今日派遣される職場が何処だか分らない」という主体性のない者達ばかり。彼らがユニオン商売・労働組合商売の奴らに煽られて騒いでいるだけであり、まともな派遣会社は「必要悪」などではなく「社会に必要なパーツ」なのである。
 ヒルズも秋葉原も派遣切りがあろうがなかろうが犯罪者遺伝子が巻き起こした単なる凶悪犯罪で、社会性を問うべき類のものではない。

 ところで人材派遣サービスのアンツグループというかユニティグループというかを糾弾しだしてから、本紙は読者の方々から色々な御忠告を頂いている。

「社会保険料逃れ、労災保険や雇用保険逃れの人材派遣会社はアンツだけじゃないんですよ!派遣会社や請負会社の多くは実は社会保険・雇用保険・労災保険をけっこう吹っ飛ばしているんですよ!特に社会保険をまじめに払っている人材派遣会社なんて数える位しかないんですよ!」

 という衝撃的な業界事情まで教えて頂いた。

 人材派遣会社や請負会社の殆どが社保未納であるとは。

 IT系の派遣社員の方々の多くは、筆者の知り合いに限れば、年収七〇〇〜一千五〇〇万円台で確定申告をしている。国保だ。彼らに突っ込んで聞いたことはないが自分で確定申告してるんだから個人事業主と割り切っているのだろう。だから社会保険ははなから不要だと。なので彼らのほとんどは「派遣切り」に不満もなければ切られる事にも無関係で、かつ「人材派遣」というシステムに満足しシステムを上手に利用し切っている。

 対して昨日も報じたアンツグループのような日雇い派遣系、いわゆるガテンな肉体労働日雇い派遣の世界では、労働者が貰える賃金も低いから確定申告などしたら持ってかれる税金のことも心配だろうし、そもそも安い金についての争いだから1円2円単位が大きく響く。
 ユニティ・アンツグループに関して言えば、社会保険料支払いについては「社保、社保」と煩い労働者諸君に対しては「社会保険に加入すると君も社会保険料50%負担しなきゃなんない。今の給料で50%負担はきついよね。やめとこうよ」というような懐柔提案で社会保険加入逃れの共犯に仕立てるそうだ。

 派遣労働者にしても元々自分が遺法派遣されている自覚もない位、労働法に疎い訳だからユニティ・アンツグループに上手いこといわれたら納得する方が精神的に気楽というもの。
 よってユニティ・アンツらの遺法派遣請負企業群は社会保険料を免れており、これがまた、アンツらに限らぬ日本中の遺法派遣・数万社のほとんどで行なわれている「社保逃れ」の実態なのだそう。

 パート・アルバイトだろうが一定条件を超えれば社会保険加入の義務が生じ、加入の責任者であるべき企業側はそういった事にセンシティブでなければならない筈なのだが、まともな人材派遣会社以外ではこれが殆ど遵守されていない。

 また、「派遣切り」であれだけ派遣会社に斬り込み、企業のちょっとした事でもワンワン大騒ぎするユニオン・労働組合側も「社会保険加入」に関してはあまり声を大にして騒がない。

 ユニオン・労働組合が社会保険料未加入にだけは余り騒ぎ立てないのは、社会保険加入など余りに法律遵守し過ぎると、労働者に対して、社会保険料の負担が月々大き過ぎて、ユニオン側が労働者から貰いたい月間労働組合加盟費が貰いにくくなるからだそうだ。
 キレイ事を並べ立てる労働者の為の労働組合・ユニオンも労働者からの組合費用なしにはやってられないので、その組合費を貰い辛くするような「支出」つまり労働者個人の「社会保険料支払い(50%負担)」には触れたくないのが、正直な、本当に公言はしないが労働組合の正直なところの『聖域』なのだそうだ…この社会保険料支払いというものは。

 労働組合らにはそんな台所事情があって社会保険料はアンタッチャブルな存在なのだが、本紙としてはそういう事情は知ったことではなく是々非々で遺法派遣会社の社会保険料未納は大罪であると声を大にして叫び続ける所存である。
 遺法派遣会社、偽装請負企業などに対し、満遍なく社会保険料の徴収をすれば、驚くことに「数兆円」の税収が見込めるそうだ。
 麻生総理が2兆円を国民に配る云々で支持を得ようとしたが、そんなマイナスアクション…いつかはツケが回ってくる政策よりも社会保険料徴収にせいを出したらどうだろう。

 また、永田町の埋蔵金だとかいう張子の虎を責めるより、一番取立てしやすいのは、この遺法派遣会社(数万社)からの2年間に遡るところの未払い社会保険料の強制徴収を実行する方がよほど実践的なトレジャーハンティングだと思われる。
 2009年は大恐慌と言われるが、税金のところの、この、不均衡をなくし数兆円分の未払い社会保険料徴収を行なえば、2008年は黒星だらけだった厚生労働省の方々もメンツを立て直すことが出来ると言うものではないだろうか?

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